2024年11月19日に「第3回GXサロン」を東京で開催しました。GXサロンは、より直接的な対話を通じて、GXの取り組み推進やネットワーキングに役立てていただく場として、今年度よりスタートしました。会場にはおよそ50社の代表者が集まり、交流を深めました。
開会のあいさつでは、経済産業省の竹下敬太氏が、GX政策の最新動向について言及。2024年末までにとりまとめる「GX2040ビジョン」では、GX市場の創造を柱の一つに位置付ける方針であることを紹介すると共に、すでにGXリーグではGX市場創造に向けて特に需要側に着目し、GX製品の調達やGX製品を使用したサービス等の社会実装を促進するためのルール形成を進めていることも紹介しました。
「GX政策の重点は、スコープ1、2の削減に留まらず、サプライチェーン全体での削減へと目線が移りつつあると感じている。今日のテーマである中小企業のGXについても然り、社会全体でGXを進めていくことが必要。GXに積極的な企業の皆さんとしっかり議論しながら、GXの取組を加速化させていきたい」と竹下氏は述べ、参画企業のリーダーシップに期待を寄せるとともに、継続的な議論を呼びかけました。
省庁プレゼンテーション
脱炭素成長型経済の実現には、日本の全企業数のうち99%以上を占める中小企業の取り組み加速が欠かせません。イベント前半には、経済産業省 GXグループ GX推進企画室の永井健寛氏より、中小企業をめぐるGXの現状と政府による支援策について情報共有がありました。
2020年から22年の2年間で、取引先からカーボンニュートラルへの協力要請を受けた中小企業の割合は、製造業を中心に2倍に拡大。実際に取り組みを実施・検討している企業は2023年時点で全体の4割を超え、確実に意識醸成が進んでいます。しかし、人材やノウハウ不足がハードルとなり、実際のアクションに至らないままの事業者も少なくありません。また、約3割の事業者は脱炭素に関する取り組みを行っておらず、「脱炭素を余計なコストととらえる意識から脱却できていない現状がある」と永井氏は述べ、GXを企業経営とイコールでとらえ、取り組むメリットを伝える必要性を強調します。
「中小企業のGXは、事業者側も支援機関側も、単独では解決できない点がこれまでの経営課題と大きく異なる。支援する側が強みを持ち寄って連携し、伴走型でサポートする体制を構築していく」と永井氏。あわせて、取引先企業と連携したサプライヤー支援などにも注力し、中小企業が取り残されることのない公正な移行を進めていくとしました。
永井氏はこのほか、中小企業を対象とした支援措置として、中小機構によるカーボンニュートラル相談窓口や、専門家による省エネ診断などを紹介。さらに、省エネ補助金、税制、融資制度といった多面的な金融支援を通じて企業のGX投資を後押ししていく方針を示し、こうした制度をサプライヤー企業が有効活用できるよう、積極的な情報提供を呼びかけました。
グループ&テーマ別の自由な交流を実施
イベント後半は、直接対話を通じた交流の時間に。最初に、着席したテーブルごとにグループ交流を行いました。参加者のみなさんはそれぞれ、参加目的や中小企業(あるいは自社サプライヤー)における脱炭素で課題と感じていることについて、率直な意見交換を行いました。各々の異なる状況に耳を傾けながら、課題解決への糸口について熱心に話し合う様子が見られ、各テーブルには共感の表情があふれました。
その後、経済産業省のメンバーも加わって、全体でのオープンな交流会を実施。会場内に「中小企業に対する脱炭素の意識醸成・支援策」、「中小企業にGHGデータを算定・提供してもらうための課題」、「テーマを問わない自由な交流」の3つのエリアを設け、参加者のみなさんがそれぞれ関心のあるエリアに移動して交流を行いました。経済産業省の担当者を囲んで議論を広げたり、参画企業同士で個別に意見交換したりと、積極的に対話する様子が数多く見られました。
90分のプログラムは盛況のうちに終了。閉会後も、時間の許す限りディスカッションを続ける方が多く、有意義な交流の場となったようです。
GXリーグでは、今後もテーマや形式を変えながら、参画企業のみなさまのGX推進にお役立ていただける機会を企画してまいります。引き続き、積極的なご参加をお待ちしております。