日本化学キューエイ株式会社

1.検証機関の強み・実績

 日本化学キューエイ株式会社(JCQA)は、ISO審査制度の草創期である1994年7月に、化学系団体の出資により設立された認証機関で、同年同月に日本適合性認定協会(JAB)から日本で最初の認定を受けました。現在では化学系企業のみならず、幅広い分野に対応できる認証機関となっており、「経営に役立つ審査を心掛ける」をモットーに認定業務を行っています。
 JCQAのGHG第三者検証としては、2011年11月に埼玉県から「目標設定ガス・基準量(区分1)」の検証機関として登録され検証を開始しました。
 当社は、環境マネジメントシステムや品質マネジメントシステム認証等で培った環境分野の豊富な経験・実績をもとに信頼性の高い検証サービスをご提供しています。また、現在ではGHG排出量のSCOPE 3の検証等も実施しており、幅広く顧客のニーズに対応しています。

2.排出量についての検証の展望

 昨今、サステナビリティ情報に関する第三者保証の重要性が高まっており、例えば、IFAC(国際会計士連盟)の2024年2月の報告※に依れば、日本の上場企業の時価総額で上位100社のうち、99社は一定のサステナビリティ情報を開示しており、そのうち68社が、第三者保証を受けていると報告されています。
 非財務系情報の第三者保証業務基準としては、IAASB (国際監査・保証基準審議会)により策定された、ISAE 3000と、その下のGHG報告書に関する保証業務に特化した保証業務基準のISAE3410が用いられる場合が多く、さらに、2023年8月には、ISSA5000(包括的なサステナビリティ保証業務の一般的要求事項)の草案が公表され、EUの計画するCSRD(企業サステナビリティ報告指令)や、国内における保証基準のベースに採用されるかなどの点が注目されています。また、GHG排出量の検証に関しては、ISO検証機関等により、ISO14064に基づく第三者検証や、地域ごとのルールによるGHG排出量の検証が行われており、従来は、これらを用いて保証、検証が行われる場合が多いものと思われます。
 ただし、現状では、これら以外にも保証基準が複数混在し、保証水準も異なることから、今後、国際的に統一された保証基準の策定、運用が急務と考えられます。

※ THE STATE OF PLAY:SUSTAINABILITY DISCLOSURE & ASSURANCE 2019-2021 TRENDS & ANALYSIS

3.合理的保証を受けるために準備すべき事項

 GX-ETS では、Group G 企業が超過削減枠を創出しようとする場合は、排出量の実績について合理的保証水準の検証を受けていることを要件としています。
 このGHG排出量の合理的な保証を受けるためには、基本的なものとして次のような準備が必要です。

①GHG排出量の計測および報告のための適切な内部管理体制(内部統制)の確立:組織内で排出量を計測し、報告するためのプロセスや責任者を明確にし、計測方法の適合性や正確性を確保します。
②GHG排出量のデータ収集および管理システムの導入:組織内のGHG排出源を特定し、その関係データを網羅して集計し、管理するためのシステムを構築します。これにより、計測の透明性と精度が向上します。
③温室効果ガス排出量の報告および情報開示の手続きの整備:GHG排出量の報告手順や情報開示のポリシーを策定し、適切な形式で報告するためのプロセスを確立します。
④第三者による検証や監査の準備:GHG排出量の計測や報告プロセスを第三者によって検証や監査されるための準備を行います。これによって、計測の信頼性や透明性が確保されます。
⑤持続可能なGHG排出削減策の策定と実施:合理的な保証を受けるためには、GHG排出量を削減するための具体的な計画や取り組みを策定し、実施することが重要です。

 GHG排出量の合理的な保証によって、組織の排出量情報が信頼できるものとなり、環境への影響を減らすための適切な対策や行動を取るための基盤となります。