東レ株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 東レグループは2018年に「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」を策定し、2050年には以下の4つの世界の実現を目指しています。

「地球規模での温室効果ガスの排出と吸収のバランスが達成された世界(GHG排出実質ゼロの世界)」、すなわち”カーボンニュートラル”
「資源が持続可能な形で管理される世界(資源循環)」
「誰もが安全な水・空気を利用し、自然環境が回復した世界(ネイチャー・ポジティブ)」
「すべての人が健康で衛生的な生活を送る世界」

 東レグループでは、4つの世界を実現するサステナビリティイノベーション(SI)事業および製品の拡大により社会に貢献していきます。なかでも2050年カーボンニュートラルの実現に向けてはSI事業拡大および自社活動のGHG排出量削減を進めていき、2030年目標としては以下を掲げております。

①東レグループ全体のGHG排出量の売上収益原単位を2013年度比50%以上削減(今中期経営課題”プロジェクトAP-G 2025 (2023年~2025年)より従来の30%から引き上げ)
②東レグループのうち、日本国内のGHG排出量を40%以上削減(今中経より従来の7%から引き上げ)
③東レグループ全体の用水使用量の売上収益原単位を50%以上削減(今中経より従来の30%から引き上げ)
④SI製品の事業拡大を2013年度比4.5倍、それに伴うバリューチェーンでのCO2削減貢献量を25倍

 なお、当社の気候変動に対する方針・体制・取り組みなどをまとめて、「東レグループ TCFDレポートVER2」を発行しています。

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 推進体制として、2021年4月より気候変動対策推進の統括機関として社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、2023年より一部見直し、事業を通じた社会全体のGHG排出量削減への貢献(サステナビリティイノベーション事業拡大プロジェクト(以下、SI事業拡大PJ))と自社の活動におけるGHG排出量削減(気候変動対策プロジェクト(以下、気候変動対策PJ))の両輪で、取り組みを推進しています。
 気候変動対策PJでは、2030年のScope1+Scope2のGHG排出量削減目標の実現に向けた取り組みをチャレンジ50+プロジェクトとして全社的に推進しています。
 既存生産プロセスや設備の高効率化(省エネ)、石炭ボイラーの買電化、燃料転換、バイオマス燃料の拡大や再エネ電力使用拡大など推し進め、さらなるGHG排出量削減に向けた全体戦略などの議論を進めています。
 2022年度は、本体、国内外工場において省エネ効果でGHG排出量約1万トン-CO2/年以上の削減を実施し、2021年にはインドネシアのP.T. Indonesia Toray Syntheticsでは石炭火力による発電を停止して買電に切り替えを実施したことにより、CO2の排出量を250千トン-CO2/年削減しました。

カーボンニュートラルへの取り組み
自社のカーボンニュートラル実現

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 前述の気候変動対策PJ内の、GHG削減部会ではScope3排出量削減を推進しています。特に排出量が多い、Scope3のカテゴリー1(上流)については主要サプライヤーとのエンゲージメントを通して削減方針等の議論を進めています。カテゴリー4も輸送方法や輸送効率向上にて削減を推進しています。
 また、両輪の一つであるSI事業拡大PJでは、繊維事業、炭素繊維複合材料事業などの各事業本部での取り組みを基本としつつ、モビリティ、資源循環、水素などの事業横断領域については個別に部会を設置し、連携してSI事業の拡大に取り組んでいます。
 炭素繊維の、航空機等の軽量化実現による省エネ分野、風力発電や水素製造の効率化に寄与する再エネ・新エネ分野、バイオマス由来やリサイクル原料の推進などの資源循環分野において、当社SI事業の拡大により、サプライチェーンを通じてGHG削減に貢献し、ひいては社会のカーボンニュートラル実現に貢献していきます。
 また、これらSI事業の普及拡大により、再エネ電力、水素、製品カーボンフットプリントが低い原料使用などが、自社活動にも還元され、自社のGHG排出量削減にもつながっていきます。特に原料のカーボンフットプリント低減につながる資源循環への対応は「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」にも掲げており、中期経営課題”プロジェクト AP-G 2025”でも重点課題としています。

自社のカーボンニュートラル実現への貢献

4.GXリーグでの活動について教えてください

【参加した目的等】
 カーボンニュートラルという極めて難しい課題に対して、自社活動での達成はもとより社会の共通課題としての実現に向けて、個社だけでは実現できないバリューチェーン全体での取り組みを期待し、各企業様と議論できる場、ビジネス機会創出を求めて参画しております。

【GXリーグでの活動】
 弊社は、GXリーグの賛同フェーズ時よりGX経営促進WGに参画して参りました。同WGの幹事企業様の強力なリーダーシップのもと、2023年3月に発行しました「気候関連の機会における開示・評価の基本指針」の策定にあたり、削減貢献量や技術進化(イノベーション)への貢献の重要性を提言し、協議をさせて頂きました。
 さらに、GXスタジオでは参画企業との交流を深めるため、積極的に参加しています。GXスタジオを通して様々な企業様との意見交換やネットワーキングを行っており、カーボンニュートラルに向けた共通課題に対してのビジネス機会創出に向けた活動を行っております。