東京ガス株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass 2030」(2019年)でCO2ネット・ゼロへの挑戦を宣言し、「Compass Action」(2021年)では、「責任あるトランジション」でCO2ネット・ゼロへの移行をリードする方針を公表しています。
 また、カーボンニュートラル社会実現に向けた具体的な道筋として、「東京ガスグループカーボンニュートラルロードマップ2050」を2024年3月に策定・公表しました。

【責任あるトランジション】
 東京ガスグループは、地政学リスクなどエネルギーを取り巻く情勢が不透明な中、社会を支えるエネルギー企業グループとして、足元から中長期にわたって「安定供給」を損なうことなく「脱炭素社会」を実現します。
 トランジション期においては、最新鋭の高効率LNG火力発電をはじめ、他の化石燃料よりも低炭素な天然ガスシフトを推進し、天然ガスのエネルギーを無駄なく使う高度利用を進めることで、社会全体のCO2排出量を着実に削減します。
 その結果、天然ガス供給量の増加により、東京ガスグループのCO2排出量(Scope1,2)は2030年代に向けて増加していきます。

【カーボンニュートラルに向けた基本方針】
 東京ガスグループは2030年以降も「責任あるトランジション」を踏襲したうえで、下記「3つのアプローチ」によって、「カーボンニュートラル社会へのシームレスな転換」を牽引していきます。

○3つのアプローチ

カーボンニュートラルに向けた基本方針
カーボンニュートラルに向けた基本方針

 20年代はこれまでに推進してきた天然ガスの高度利用と並行し、ガス・電力の脱炭素化の準備を進めます。
 30年代は脱炭素化技術を実装・拡大して、2040年時点で東京ガスグループのCO2排出量(Scope1,2,3)を6割減、ガス・電力共にCN化率5割を、その後比率を高め、2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。

カーボンニュートラルロードマップ2050
カーボンニュートラルロードマップ2050

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

【ガスの脱炭素化】
○サプライチェーン全体のGHGを徹底的に削減:米国シェールガス事業のオペレーターを子会社化し、メタン漏洩対策を加速し生産量に対するメタン排出割合を大幅に改善しました。またLNG生産者と連携し、上流側のメタンリーク量や対策に関する可視性を高めていくなどの取り組みも進めていきます。
○信頼性の高いカーボンクレジットを自ら創出・提供:熱の脱炭素化に向け、信頼性の高いカーボンクレジット等のオフセット手段も活用していきます。
○e-methane推進:2030年の導入開始に向け、日米コンソーシアムで進める世界最大級のプロジェクト(北米)を推進しております。また東南アジア、豪州、中東等でも、グローバルプレイヤーと連携してプロジェクトを推進していきます。

【電力の脱炭素化】
○浮体式洋上風力におけるイノベーションの推進:遠浅の海域が少ない日本では、水深が深くても設置可能な浮体式洋上風力のポテンシャルが大きく、コスト低減に向けたイノベーションが求められています。日本初の大規模浮体式洋上風力の実現に向け、プリンシプルパワー社の浮体式基礎技術を活用し、日本の気象・海象に適合させるとともに、連続製造・施工を実現する技術の確立を目指していきます。
○大規模ゼロエミ火力の推進:供給力、再エネ調整力の役割を担う火力発電についても、安定供給を維持しながら脱炭素化を推進することが求められます。最新鋭のガスタービンコンバインドサイクル方式を活用した新設火力発電所の投資意思決定を行い、電力の安定供給に貢献すると共に、水素、e-methane、CCS等のゼロエミ化に向けたあらゆる選択肢の活用を検討していきます。

【東京ガスグループのScope1,2】
 大部分が火力発電所由来のCO2排出であり、火力発電所新設に伴い増加するものの、再エネ取扱量拡大、40年代に本格化する既存自社火力発電所のリプレース等に合わせてゼロエミ化を推進し、2050年CO2ネット・ゼロを目指します。
 また、都市ガス製造段階、自社利用ビル等でのCO2排出は2030年ネット・ゼロ化を目指します。

東京ガスグループが目指す2050年カーボンニュートラル社会像
東京ガスグループが目指す2050年カーボンニュートラル社会像

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 東京ガスグループが目指すカーボンニュートラル社会像の実現に向け、足元から自社排出量の削減に加え、排出削減に貢献する技術の普及拡大による社会全体のCO2削減、並びに、将来の更なる排出削減に繋がるイノベーションを加速していくことが必要です。また、その際には人々の生活や経済活動を守るため、S+3Eの観点が重要となり、エネルギー利用に伴う安全性を前提に、経済性、安定供給を維持しつつカーボンニュートラル社会へ移行していかなくてはなりません。

 東京ガスグループは、トランジション期では、他の化石燃料に比べ環境性に優れる天然ガスの普及、並びに天然ガスを無駄なく高度に使う機器・技術の拡大を通じて、社会全体のCO2削減に貢献するとともに、電力・ガスの脱炭素化に向けたイノベーションに取り組み、S+3Eの観点を踏まえつつ社会実装させていくことでカーボンニュートラル社会実現を目指します。

 尚、東京ガスグループは、社会全体のCO2削減に貢献する取組を加速していくことに向け削減貢献量の目標を設定すると共に、代表的な事例における削減効果の考え方と削減貢献量の算定方法を開示しております。

4.GXリーグでの活動について教えてください

 東京ガスグループは「責任あるトランジション」のもと、2022年3月、「GXへの挑戦を行う企業が、排出量削減に貢献しつつ、外部から正しく評価され成長できる社会(経済と環境および社会の好循環)を目指す」というGXリーグ基本構想で掲げられた考えに賛同し、2023年4月よりGXリーグへ参画しています。

 GXリーグでは、GX-ETSのみならず、様々な取り組みに積極的に関与しており、GXスタジオでは「クリーンエネルギー」をテーマにプレゼンを行い、また市場ルール形成WGでは「経営促進WG」「ボランタリーカーボンクレジット情報開示検討WG(リーダー企業として参加)」「適格カーボン・クレジットWG」に参加し、企業交流の場の活性化、GX関連のルール形成に貢献しています。

 これら取組みを通じて、気候変動に真摯に取り組む企業が正しく評価され成長する社会が実現していくことを期待しています。