東京海上日動火災保険株式会社
1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください
事業活動を通じた地球環境の保護への取組み
■気候変動の対策
グローバルな課題であり保険業界に直接的な影響があるため、本業である保険ビジネスはもとより、当社として最重要課題と位置付けています。国際機関や政府、産業界、学術機関、市民社会等と建設的な対話や協働を踏まえ、気候変動対策に取組み脱炭素社会への移行推進に貢献していきます。
■再生エネルギー等のクリーンエネルギーの普及促進
気候変動緩和の側面から、再生可能エネルギー分野における商品・サービスの提供等を通じて、クリーンエネルギーの普及を促進し、脱炭素社会への移行に貢献していきます。
■自然災害への対応
気候変動適応の側面から、自然災害や防災・減災に関する知見を商品・サービスの開発や提供に繋げ、事前・事後の安心・安全の提供を通じて、自然災害に負けない社会づくりに貢献していきます。
■生物多様性・湿地の保全
地球環境との調和、環境改善に配慮した事業活動を実践しマングローブ植林や国内外での環境保護活動(海を守る活動・森を守る活動)を通じて生物多様性・湿地の保全に貢献していきます。
2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください
■マングローブ植林によるカーボンニュートラルに向けた取り組み
環境に関することで長く続けられることを1999年から東南アジアを中心に、「マングローブ植林プロジェクト」を実施しています。2022年度までの24年間で、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、フィジー、インド、バングラデシュ、マレーシア計9ヵ国で、累計約12,261haの植林を行いました。3つのNGOと、植林地域の政府やコミュニティと連携して取り組んでいます。植林面積を KPI とする5か年計画を策定し、半期毎に植林状況の確認を行っています。現在、第Ⅴ期:(2019 年度~2023 年度)で累計1,150haの植林目標を設定し、2019年度から 2022年度までの4年間で累計1,303haの植林を実施しました。
■紙使用量削減の取り組み
紙使用量抑制策として、「働き方の変革」として社員へのモバイル端末配付、タブレット端末等を活用したペーパーレスの契約申し込み手続き「らくらく手続き」推進、ペーパーレス会議推進、文具・オフィス用品のグリーン購入、帳票・パンフレット類のWeb化、日常業務における両面コピーや集約印刷の徹底に取り組んでいます。また、2020年12月からは「リモートらくらく手続き」を導入しました。保険提案・説明からスマートフォン等による契約申し込み手続きまでをオンライン上で行えるようにすることで、更なる利便性向上を実現し、ペーパーレスの手続きを強力に推進しています。
■社員による省エネ意識の向上
東日本大震災以降、省エネ(ピーク時の使用電力量抑制)が求められている状況を踏まえ、節電・省エネ意識を定着するため、「夏季・冬季の節電対策」を実施しています。具体的には、(1)オフィス内での省エネ(照明機器の間引き、コンセント回り(OA機器、コピー機等)の使用制限、空調管理の徹底(執務室における室温28℃(冬季:19℃)の設定等)や、(2)社員の働き方の見直し(朝型勤務の推奨、服装のカジュアル化等)を行っています。
■自然エネルギー利用の推進
東京海上ホールディングス、東京海上日動および東京海上日動あんしん生命は、2022年度に本社ビルの使用電力全てを再生可能エネルギー由来としました。とりわけ、東京海上日動では、2002年から2022年まで風力発電やバイオマス発電によるグリーン電力を年間約100万kWh購入しています。また、2022年度からは、水力発電によるグリーン電力使用や非化石証書の購入を行っています。
3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください
2021年2月に「グリーン・トランスフォーメーション(GX)タスクフォース」を設置し、再生可能エネルギーに係る保険商品・サービスの開発・提供、TCFDに基づく気候変動リスク・機会等の開示支援等、お客様のカーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援しています。
2023年9月に、東京海上グループが掲げたお客様との対話(エンゲージメント)に関する2030年中間目標において、当社は、2030年までに、保険引受に伴うGHG排出量の約9割を占める大口顧客「200社」と対話し、「160社」以上と具体的な提案を伴った対話による貢献を目指します。また、「200社」のうち保険引受に伴うGHG排出量の約7割を占めるGHG高排出セクターに該当する「60社」を対象に、エンゲージメントを通じて脱炭素計画の策定を求め、2030年までに脱炭素計画を有していない企業とは取引(保険引受・投融資)を行わない方針を掲げています。
■洋上風力発電を建設フェーズから操業フェーズまでトータルにサポート
2013年にオランダ洋上風力プロジェクトの保険をお引き受けしたことを皮切りに、現在、日本を含めた10の国と地域で合計63プロジェクトをサポートしています。2019年に社内横断で洋上風力産業をサポートさせていただく“洋上風力推進タスクフォース”を立ち上げました。お引受けを通じて得たノウハウや事故防止に向けた取り組みなどについて、海外の専門家と連携したセミナーの開催や情報共有を通じて日本の洋上風力産業の発展をサポートしています。
洋上風力発電プロジェクトには、国外の風車メーカーをはじめ様々な関係者が建設に関わります。そのため、各関係者が建設作業を通じて負っている様々なリスクをトータルにサポートする洋上風力発電専用パッケージ保険をご提供しています。
■TCFD情報開示支援システム開発とコンサルティングサービスの提供
2022年、企業にとって実務負担の大きいTCFDシナリオ分析をサポートする「TCFD情報開示支援システム」を開発しました。本システムを幅広いお客様に提供すると共に、お客様からのフィードバックを踏まえて機能を順次拡充することにより、脱炭素・カーボンニュートラルの実現に向けて気候関連財務開示に取り組む様々な企業の脱炭素計画の策定を支援しています。
さらに、株式会社三菱UFJ銀行と共同で、「GX推進アドバイザリータスクフォース」を立上げ、両社のコンサルタント人材、および当社が開発した「TCFD情報開示支援システム」を活用してコンサルティングサービスを提供しています。単なる開示サポートに留まらず、脱炭素戦略の策定・高度化や対応策実行の支援を通じて、お客様の脱炭素経営推進および企業価値向上に貢献してまいります。
4.GXリーグでの活動について教えてください
当社はGXLへの参画を通じて得られる知見を活かし、カーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行を支援する新たな保険商品・サービスの開発に取り組んでまいります。
また、ステークホルダーの皆様と共に、カーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に向けた歩みを着実に進め、我が国のGXにこれからも一層貢献していくためにGXLでの活動に精力的に取り組んでまいります。
GXLの活動として、「市場創造のためのルール形成」において、2022年より「経営促進WG」「ボランタリーカーボンクレジット情報開示検討WG」でリーダー企業を務めました。前者においては『日本企業が持つ気候変動への貢献の機会面が適切に評価される仕組みの構築』、後者においては『ボランタリーカーボンクレジットに関する情報開示や自主的な用途に関する議論動向の整理・検討』を目的に、金融機関・保険会社として市場の活性化へ貢献するべく参加してまいりました。
今後もGXLへの積極的な参加を通じて、GXという社会課題の解決に取り組み、安心・安全な社会の実現に貢献することで、100年先も成⻑し続ける社会・会社をステークホルダーの皆様と目指してまいります。