太平洋セメント株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 太平洋セメントグループは、気候変動問題への対応、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを重要な経営課題であると位置づけています。2022年3月に「カーボンニュートラル戦略2050」を打ち出し、2050年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラル実現を目指しています。また、2030年の中間目標として、2000年比でCO2排出原単位20%以上の削減(国内ではCO2排出量の40%以上の削減)を掲げています。
 この戦略に基づき、2050 年におけるサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現に向けて総力戦で取り組むことにより、太平洋セメントグループのさらなる成長と社会の持続的発展を実現する圧倒的なリーディングカンパニーを目指します。

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 セメント製造プロセスのカーボンニュートラルを目指して、新たな革新技術と従来技術を応用・発展させるための技術開発に取り組んでいます。
 具体的にはセメント製造プロセスにおいて排出の避けられない原料由来のCO2を効率的に回収し、貯留や有効利用する革新技術と、製造プロセスで利用するエネルギーの効率化や、CO2を排出しない水素・アンモニアを用いたガス焼成技術、低CO2セメント・混合材の利用拡大などCO2の排出削減に資する技術の開発に取り組んでいます。
 カーボンニュートラルの実現に必要な技術を2030年までに完成させ、国内・海外へ順次展開していくことで2050年にカーボンニュートラルを実現する計画です。
 当社独自かつ世界初となるコンパクトな設備でCO2分離回収を可能とする「C2SPキルンⓇ」は、世界標準となることを目指して開発に取り組んでいます。

カーボンニュートラル製造プロセスイメージと技実開発ロードマップ
カーボンニュートラル製造プロセスイメージと技実開発ロードマップ
従来型・C2SPキルンセメント焼成フロー比較
従来型・C2SPキルンセメント焼成フロー比較

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 当社の主製品であるセメントは、原燃料の調達、セメント製造、製品の物流はもちろんのこと、その後は主にコンクリートとして使用されることから、コンクリート製造や構造物としての供用・解体、再利用といった一連のプロセスが主なサプライチェーンとなります。セメントを社会に供給する立場としてサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに貢献していくことは重要な責務であることから、コンクリートへのCO2吸収などの諸施策も併せて取り組みを進めています。
 サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを実現するうえでは、全体の95%以上のCO2排出を占めるセメント製造工程からいかに削減するかが最重要であり、そのために必要な技術開発を着実に進めていきます。

サプライチェーン全体としてのカーボンニュートラルに向けた取り組み
サプライチェーン全体としてのカーボンニュートラルに向けた取り組み

4.GXリーグでの活動について教えてください

 太平洋セメントは、2050年カーボンニュートラルの実現を目指す企業として、「GXリーグ基本構想」に賛同し、2023年4月よりGXリーグに参画致しました。
 GXリーグ参画の目的は、「他産業との交流・意見交換」、「ルールメイキングの議論」等への参加機会を得ることです。
 当社は、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現のため、ユーザーやパートナー企業と連携して取り組みを進めておりますが、GXリーグの枠組みを活用して、多様な参画企業との情報交換・技術交流を行い、より一層カーボンニュートラルの実現に向け貢献していきたいと考えています。