住友商事株式会社
1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください
当社グループは、パリ協定における世界的合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成に、より積極的な役割を果たすため、マテリアリティとして「気候変動問題を克服する」を掲げ、「気候変動問題に対する方針」の下、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化とビジネスパートナーや公共機関等と協力した取組や提言等を通じて、社会のカーボンニュートラル化に貢献しています。
当社グループとして、2050年にカーボンニュートラル化を目指す目標を設定しており、中間目標としてグループのCO2排出量を、2019年比で2035年までに50%以上削減する目標を設定しています。当該目標達成のためのより具体的な道筋については、次項を御参照ください。
なお、上記目標の前提として、カーボンニュートラル化の対象となる事業の範囲は、Scope1/2: 住友商事単体及び子会社の直接的CO2排出と、各社の使用するエネルギーの生成に伴う間接的CO2排出(ただし、発電事業については持分法適用関連会社の排出も対象に含める)、Scope3: 住友商事単体及び子会社、持分法適用関連会社の化石エネルギー権益事業で生産されたエネルギー資源の他者の使用に伴う間接的CO2排出としています。
2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください
当社グループの2050年カーボンニュートラル化に向けて、より明確なアクションプランを示す以下の中期目標を設定し、達成に向けた取組を進めています。
【CO2排出量を2019年比で2035年までに50%以上削減】
- 発電事業のCO2排出量を2035年までに40%以上削減(内、石炭火力発電については60%以上削減):経営資源をより環境負荷の低い発電ポートフォリオに継続的にシフトすべく取組を進めています。また、取組中の再生可能エネルギー案件の規模を勘案し、2022年には従来掲げていた再生可能エネルギー供給の拡大目標(2030年までに3GW)を5GWに上方修正しました。
- 化石燃料エネルギー権益事業のうち、一般炭鉱山開発事業から生じる間接CO2排出量(他者のエネルギー資源使用に伴う間接排出量)を2020年代後半にゼロとする:豪州一般炭権益の売却等を通じ、化石エネルギー権益事業全体では基準年比で約42%の削減を行っています。
- 上記以外の事業におけるCO2排出量の削減:インターナル・カーボンプライシング(ICP)制度によるCO2排出量に対する炭素排出コストの可視化・モニタリング等も活用しながら、着実な排出削減を推進しています。
また、社会のカーボンニュートラル化に向けた取組としては、脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築という共通のテーマを持つ事業を結集した「エネルギートランスフォーメーショングループ」を2024年4月に新たに立ち上げ、同グループが中心となって脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築や、持続可能なカーボンサイクル実現に向け取り組んでいるほか、他の営業グループにおいても、省エネ・省資源化や脱炭素・低炭素エネルギー源への転換に資する取組を推進しております。これらの各営業グループの取組を通じて、総合商社としての社内外の多様な知見を活かし、従来の地域・事業部門の枠組みを超えた組織横断的な掛け合わせによる事業開発を推進しています。
3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください
当社単体の上流のScope3排出に関して、輸送、配送起因のGHG排出量は、当社を荷主とする国内輸送に関わるものを集計し、モーダルシフト(鉄道や船舶の活用)、配送ルートや車両への積載の最適化、エコドライブの推進等を通じて、エネルギー使用量の原単位を年平均1%以上低減することを目標としています。グローバル連結ベースでは、CN化対象としている化石エネルギー権益事業のカテゴリ11(販売した製品の使用)を収集しています。これに加えて、それ以外の主要なScope3についても2023年度から収集を開始したところです。これらのScope3排出量データに基づき、当社のサプライチェーン上の低炭素化に向けた取組を推進していきます。
また、当社は「気候変動問題に対する方針」等において、社会のCO2排出削減への貢献に資する事業を推進していく方針を示しています。当該方針に基づき、現在、ICPの一環として、社内基準に該当する事業のCO2削減貢献量を算定、社会のカーボンニュートラル化に向けた取組状況の把握に努めています。具体的には、個別の投融資案件のうち、客先のニーズや営業戦略上の必要性が生じ得る、次世代エネルギー関連事業(水素、アンモニア、合成メタン、SAF、蓄電サービス、CCS/CCUS等)や廃棄物発電事業、バイオマス発電事業等をはじめとする削減貢献量を創出可能な事業を対象として、気候変動関連事業の新たな機会創出に向けた全社の施策検討や投資判断時の将来事業への影響等の確認に活用しています。
上記に加えて、社会の持続可能なカーボンサイクルの基盤となる事業の構築に向けた取組として、当社グループの再生可能エネルギー供給量を2030年までに5GW以上まで拡大することを目指して、再生可能エネルギー設備導入事業等の関連取組を継続しています(再掲)。
ビジネスパートナーとの関係では、カーボンニュートラル達成を目指す企業様に向けて、GHG排出量を算出・可視化するシステム導入から、GHG排出削減の効率的な長期計画・ロードマップの策定、評価見直し、削減ソリューション提供までを一気通貫でサポートするGXマネジメントサービス「GXコンシェルジュ」を提供しています。
4.GXリーグでの活動について教えてください
当社は2023年4月に、経済産業省が推進する「GXリーグ」に参画しました(GXリーグの本格運用に向け基本的な指針を示した「GXリーグ基本構想」には22年3月に賛同)。当社は、自社グループの2050年カーボンニュートラル化を目指すとともに、社会全体のカーボンニュートラル化に資する取組にも積極的に取り組んでおり、GXリーグの枠組みを活用し、こうした取組を一段と推進していきます。
具体的には、GX-ETSへ参画し、2050年CNに整合的な 第1フェーズ(2023年度~2025年度)の排出削減量総計、2025年度及び2030年度のGHG排出削減目標を設定して取組を進めている他、ワーキング・グループへの参画を通じたGX関連のルール形成にも貢献しています。GX関連のルール形成への参画を通じて、新たな炭素削減価値の創出やカーボン・クレジット市場の更なる取引の活性化を実現することを期待しています。
【参画ワーキンググループ】
- 経営促進WG
- ボランタリーカーボンクレジット情報開示検討WG(リーダー企業)
- 適格カーボン・クレジットWG
- GX人材市場創造WG(オブザーバー参加)
その他、GXリーグ下の各WGに意見提出等を通じてルール形成に関する議論に参画しています。