シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください
シュナイダーエレクトリックは、エネルギーマネジメントとオートメーションのデジタルトランスフォーメーションをリードする企業として、持続可能性を事業戦略の中核に据え、自社のビジネスにおける気候変動対策に野心的な目標を掲げています。
まずScope別削減目標としては、Science Based Targets (SBT) イニシアティブに則り、企業の温室効果ガス排出削減目標を設定しています。
- 自社事業からの排出(Scope 1 & 2): 2025年までに、再生可能電力の利用を90%(2030年までに100%)にすることを目指しています。また、2017年比で2025年までに拠点におけるエネルギー効率を15%削減する目標も掲げています。
- バリューチェーンからの排出(Scope 3): 上位1,000社のサプライヤーの業務から、2025年までにCO2排出量を50%削減することを目標としています。これは、サプライチェーン全体の脱炭素化を推進する私たちの強いコミットメントを示しています。
またその他の環境関連目標としては、GHG排出削減に加え、以下のとおり広範な目標を設定し、循環型経済と生物多様性の保全にも注力しています。
- 製品とソリューション:
- シュナイダーエレクトリックには、製造から使用、廃棄・リサイクルに至るまで、ハードウェア製品のライフサイクル全体における環境負荷をデータとして公開する「Environmental Data Program」という取り組みがあり、2025年までに、収益の80%をこの情報開示に対応した製品でカバーすることを目指しています。これは、製品の環境性能に関する透明性を高めるものです。
- 2025年までに、製品原料における環境負荷を低減した素材の採用割合を50%にまで引き上げる目標があります。
- 2025年までに、使い捨てプラスチックを使用せず、リサイクル段ボールを使用した一次および二次包装の100%を実現します。
- 2025年までに、42万トンの一次資源消費を回避することを目指しています。(2017年以降の累積総重量)
- 水資源と生物多様性:
- 2025年までに、水不足の拠点において専用の戦略と行動計画を100%確立します。
- 2030年までに、事業活動において生物多様性を正味で喪失させない(Net Positive Impact)ことを約束しています。これには、すべての拠点における生物多様性の保全と回復計画の実施が含まれます。
- 社会貢献:
- 2030年までに1億人の人々が再生可能エネルギー由来の電力にアクセスできるよう支援することを目指しています。(2009年からの累積)
- 「2025年までに5000万人」という目標を設けていましたが、既に2024年でこの目標を達成し、現在は2025年までに6000万人を目指して取り組みを進めています。
このようにシュナイダーエレクトリックは持続可能な未来の実現に向け、事業全体で包括的なアプローチをとっています。

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください
シュナイダーエレクトリックのScope 1および2排出削減は、主に以下の3つの柱で構成されています。
- 再生可能エネルギーへの大規模な転換: 私たちは、2025年までに電力消費量の90%を、そして2030年までに100%を再生可能エネルギーで賄うという野心的な目標を掲げています。これは、電力購入契約(PPA)や再生可能エネルギー証書(REC)の活用、さらには自社施設への太陽光発電設備の導入などを通じて実現されています。これにより、電力消費に伴う間接排出量(Scope 2)を大幅に削減しています。
- 徹底したエネルギー効率の向上: 2017年比で2025年までに、自社拠点におけるエネルギー効率を15%削減することを目標としています。この目標達成のため、同社は自社のスマートビルディングソリューションや産業用エネルギーマネジメントシステムを積極的に導入しています。具体的には、EcoStruxure™ Building OperationによるHVAC(暖房、換気、空調)システムの最適化、照明のLED化とセンサーによる制御、生産プロセスのデジタル化と自動化によるエネルギー消費の最適化などが挙げられます。
- フリートの電化と効率化: 事業用車両(フリート)からの直接排出量(Scope 1)を削減するため、電気自動車(EV)への切り替えを加速しています。同時に、フリート管理システムの導入により、走行ルートの最適化やアイドリングストップの徹底など、燃料消費量の削減にも取り組んでいます。
私たちのScope 1および2排出量削減への取り組みは、単なる目標達成に留まりません。そこには、グリーントランスフォーメーション(GX)を加速させるための独自の創意工夫と先端的なアプローチが息づいています。
- 自社ソリューションを自ら実証: 私たちは、自社が開発・提供するEcoStruxure™プラットフォームや各種デジタルソリューションを、自社の工場やオフィスなどの拠点に率先して導入しています。これにより、技術の有効性を自ら実証するとともに、改善点を洗い出し、顧客への提供価値を高める「生身の実証現場」としての役割を果たしています。リアルタイムのエネルギーデータ分析、AIを活用した需要予測、異常検知などが、最適なエネルギー運用を可能にしています。
- デジタルツインと予測メンテナンスの活用: 施設のデジタルツインを構築し、エネルギー消費パターンをシミュレーションすることで、潜在的な最適化ポイントを特定しています。また、予知保全技術の導入により、機器の故障による予期せぬエネルギーロスを未然に防ぎ、設備の稼働効率を最大化しています。
- 統合されたエネルギーマネジメントシステム: 単なる個別の機器の効率化にとどまらず、電力、熱、水などのエネルギーフロー全体を統合的に管理するシステムを構築しています。これにより、エネルギー消費の全体像を可視化し、各要素間の相互作用を考慮した上で、最も効率的な運用を実現しています。例えば、余剰再生可能エネルギーを蓄電池に貯蔵し、需要ピーク時に放電するといったデマンドレスポンス戦略も実行可能です。
- 従業員のエンゲージメントと意識向上: 社内でのエネルギー削減のためのアクションプロジェクトや研修を通じて、従業員一人ひとりが日々の業務の中でエネルギー効率を意識し、改善に貢献できるような文化を醸成しています。これも、デジタルツールだけでは達成できない、人の側面からの創意工夫です。
シュナイダーエレクトリックは、エネルギーマネジメントとオートメーションのリーディングカンパニーとして、これらの先進技術とノウハウを最大限に活用し、自社の脱炭素化を加速させるとともに、産業界全体のGXを力強く牽引してまいります。

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください
シュナイダーエレクトリックは、持続可能性を事業の中核に据え、単に自社の排出量削減に留まらず、サプライチェーン全体、そしてお客様や最終消費者の皆様と共にグリーントランスフォーメーション(GX)を加速しています。私たちは、革新的な技術と専門知識を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを使命としています。
私たちは、サプライチェーン全体での脱炭素化が、真の持続可能性を実現するために不可欠であると強く認識しています。そのため、サプライヤーエンゲージメントには特に力を入れています。上述のとおり私たちは、上位1,000社のサプライヤーの業務から2025年までにCO2排出量を50%削減することを目標に掲げています。これは、単なる要請ではなく、パートナーシップに基づく協力体制で進められています。
この目標を達成するため、私たちは「Catalyze」「Energize」のような革新的なプログラムを通じて、サプライヤーの方々が再生可能エネルギー導入やエネルギー効率改善を進めるための包括的な支援を提供しています。これには、専門家による無償のトレーニングやワークショップ、デジタルツール、さらには再生可能エネルギー調達に関するガイダンスなどが含まれます。サプライヤーの方々が自社の排出量を正確に可視化し、削減ロードマップを策定できるよう、データ連携の支援も行っています。私たちは、共通の目標に向かって共に学び、成長することで、バリューチェーン上流からの排出量削減を強力に推進しています。
またシュナイダーエレクトリックの事業は、まさにお客様や最終消費者の皆様の排出量削減を直接支援することにあります。私たちのIoT対応アーキテクチャ「EcoStruxure™」は、ビル、データセンター、産業、インフラといったあらゆる分野において、エネルギー効率の最適化とデジタル化を実現し、お客様の脱炭素化を強力に後押しします。
具体的には、当社のスマートビルディングソリューションを導入したお客様は、建物のエネルギー消費量を最大29%削減した実績があります。また、産業分野では、当社のオートメーションおよび電力管理ソリューションが、生産プロセスの最適化と電力ロス削減を通じて、大幅な省エネルギーと排出量削減に貢献しています。私たちは、お客様が自身のScope 1、2、3排出量削減目標を達成できるよう、具体的な技術とノウハウを提供し、その成果を「削減貢献量」として定量化しています。これは、当社の製品・ソリューションが、お客様のバリューチェーン下流において、いかに社会全体の脱炭素化に貢献しているかを示す重要な指標です。
さらに私たちは、単に製品を提供するだけでなく、企業の持続可能な発展を包括的に支援するため、グローバルに展開する企業の持続可能コンサルティング事業(サステナビリティ事業)を提供しています。世界100カ国以上で2,400人以上の専門家が、お客様のサステナビリティに関するあらゆる課題に対応しています。
当社のコンサルティングサービスは、以下のような多岐にわたる分野をカバーしています。
- 戦略策定支援: GHG排出量削減目標(SBTなど)の設定、循環型経済への移行戦略の策定。
- 排出量管理と可視化: Scope 1, 2, 3排出量の算定、データ管理プラットフォームの導入支援。
- エネルギーの効率利用: 自社拠点の省エネポテンシャルの確認、GHG排出量削減支援。
- 再生可能エネルギー調達: 再生可能エネルギー戦略策定、グローバル市場でのオフサイト電力購入契約(PPA)締結支援。
- サプライヤーエンゲージメントプログラムの設計・実行: サプライチェーン全体の脱炭素化を促すための実効性のあるプログラム構築。
- 規制対応とリスク管理: 各国の環境規制への対応、気候変動関連リスクの評価と管理。
私たちの強みは、戦略策定だけでなく、ソフトウェアやサービス、環境に配慮した製品イノベーションといった当社の具体的なソリューションと組み合わせることで、お客様の脱炭素化目標達成を強力にサポートできる点です。私たちは、お客様が持続可能な競争力を高め、よりレジリエントなビジネスモデルを構築できるよう、長期的なパートナーとして伴走し、企業のGXを加速させています。
シュナイダーエレクトリックは、これら全ての取り組みを通じて、お客様、パートナー様、そして社会全体と共に、より持続可能で、デジタル化された電化の未来の実現に全力を尽くしてまいります。

4.GXリーグでの活動について教えてください
GXリーグの設立目的(カーボンニュートラルに向けた社会構造変革のための価値提供を目指す)に賛同し参加しています。またGXリーグでの活動を通じて、カーボンニュートラルに取り組む先進企業と意見交換することで学びを得ています。
シュナイダーエレクトリックは、持続可能性を事業の根幹に据え、サプライチェーン全体の脱炭素化、そして社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献しています。
これからも、私たちはさまざまな業界の企業様との連携を深め、共に持続可能な未来を築くため尽力してまいります。