野村ホールディングス株式会社
1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください
野村グループは、パリ協定の趣旨に賛同し、2021年9月、脱炭素社会の早期実現に向けた3つの目標を公表しました。
①2030年度までに当社の拠点で排出する温室効果ガス排出量(Scope1/2)のネットゼロ達成、②2050年度までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量(Scope3,Category15)のネットゼロ達成、③2021年4月から2026年3月までの5年間で1,250億米ドルのサステナブル・ファイナンス案件に関与することを目指しています。
脱炭素社会への移行に伴う必要な資金量は、2050年までの30年間で累計150兆ドルといわれる中、リスクマネーの供給と循環を担う金融の役割はますます大きくなるものと認識しています。お客様のさまざまなサステナビリティ課題への取り組みを、金融資本市場を通じてサポートする役割を担っていきます。
2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください
当社拠点で排出する温室効果ガス排出量のネットゼロ(Scope1/2)については、排出削減の取り組みの継続、省エネルギーの促進に加え、再生可能エネルギーの導入を段階的に拡大し、2030年度までに当社が利用する電力を100%再生可能エネルギー起源の電力に切り替え、2030年度までのネットゼロを目指します。
2023年度の当社拠点における温室効果ガス排出量は21,927t-CO2(マーケットベース)となり、基準年である2020年度排出実績と比較して約半分削減しています。また、再生可能エネルギーの導入比率は、2023年度で74.0%となっており、2030年度までの導入比率100%にむけて、2025年度70%超の導入比率目標を前倒しで達成しました。
3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください
当社はサステナブル・ファイナンスを拡充することで、社会全体のカーボンニュートラル達成に取り組んでいます。
サステナビリティをテーマとしたファイナンス、アドバイザリー、コンサルティング・サービス等を取り扱っており、インベストメント・バンキング内にさまざまな専任チームを設け、国内外の多様なサステナブル・ファイナンス案件を組成してきました。お客様からのご相談がサステナビリティ戦略の立案や実行など高度化する中、野村證券においては、2024年4月に、サステナビリティ関連ビジネスへの取り組みを強化するために、社内のナレッジを集約し、産業界での知見が豊富な産業戦略開発部との協業を進化させ、お客様の戦略の立案への助言や案件の創出を拡充するために、サステナブル・ビジネス開発部を改組しました。
また、その取り組みをより強化・促進するため、2021年4月から2026年3月までの5年間に国内外で1,250億米ドルのサステナブル・ファイナンス案件に関与するという目標を、2021年度に設定しています。本目標には、公募・私募による株式・債券・メザニン債等を通じた資金調達案件、インフラストラクチャー・プロジェクト・ファイナンス案件等を含みます。
この目標達成とともに、更なるサステナブル・ファイナンスの拡充に向けて、以下の取り組みを進めています。
■トランジション・ファイナンスへの取り組み
サステナブル・ファイナンスの中でも、企業が低炭素社会への設備投資や研究開発に必要となる資金を調達する「トランジション・ファイナンス」への需要が拡大することが見込まれ、日本政府も国債としては初めてGX経済移行債(クライメート・トランジション・ボンド)の発行を2023年度に行いました。野村グループでは、トランジション・ファイナンスへの取り組みを強化しています。2023年度、野村證券は、日本国内市場にて行われたトランジション・ボンド15案件(9発行体)中、14件のトランジション・ボンド案件において主幹事を務め、同ボンドの普及に貢献しました。
■エネルギー関連インフラストラクチャーへのファイナンスの取り組み
当社は、サステナブル・ファイナンスの主力事業の一つであるエネルギー関連インフラストラクチャーに関するプロジェクトへのファイナンス(インフラストラクチャー&パワー・ファイナンス、以下IPF)について、2017年度に専属チームをニューヨーク拠点に設けて以来、各地域において取り組みを強化しています。2022年7月には、グローバルな体制整備を行いました。IPFは順調に成長を続けており、この成長軌道を継続していくことを目指しています。
4.GXリーグでの活動について教えてください
(参加した目的)
‐ GXリーグの「カーボンニュートラルに向けた社会構造変革のための価値提供を目指す」という設立目的への賛同
‐ カーボンニュートラル社会に向けて、意欲的に取り組む他参加企業との意見交換
(GX経営促進ワーキング・グループにおける幹事企業としての貢献)
‐ 2022年9月の発足以来、GX経営促進WGの運営を幹事企業としてリードしており2023年3月には「気候関連の機会における開示・評価の基本指針」を発行しました。また、2023年12月には「削減貢献量‐金融機関における活用事例集‐」を発行し、2024年5月には「削減貢献量 ‐事業会社による推奨開示仮想事例集‐」を策定しました。
‐ 2023年12月にドバイで開催されたCOP28ではジャパンパビリオンで開催された削減貢献量に関するセッションに本WGを代表して当社社員が登壇し、本WGのこれまでの取り組みを紹介することで削減貢献量の国際的な発信に貢献しました。
‐ 2022年度に開催されたGXリーグシンポジウムへの登壇やGXリーグWEBサイトでの対談を通じて本WGの取組みを積極的に発信しました。
‐ 野村アセットマネジメントの運用サイドの視点、野村證券インベストメント・バンキングによる発行体・企業サイドの視点、野村サステナビリティ研究センターのリサーチを踏まえた観点など、グループの総合力を活かし、WGの議論・運営に貢献しています。