NECネッツエスアイ株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください
当社は、1996年に環境方針を制定して以来、事業活動における継続的な環境負荷低減はもとより、環境に配慮した製品・サービスをお客様に提供することによって、社会全体の環境負荷低減に貢献し、持続可能な社会実現のための活動を継続して実施しています。
Scope1,2排出量については、NECグループ環境経営目標である「NEC環境ターゲット2030」に沿って、温室効果ガス削減目標の主要KPIを設定していましたが、気候変動対応への貢献を更に加速化し、企業としての社会的な責務を果たすため、「2024年度:89%削減(2019年度比)、2030年度:実質ゼロ」という目標に大きく前倒ししました。
Scope3排出量については、2022年度にはじめて概算値を算定して以降、排出量算定の精緻化を進めています。2023年度には、SBT水準に整合した「2030年度:35%削減(2019年度比)」という目標を設定し、今後、サプライチェーンへの働きかけを通じてScope3排出量の削減に取り組んでいく予定です。
当社は、すべての事業を気候変動対応型に移行することを宣言し、GXに向けた取り組みを進めてきました。今後も、事業活動における温室効果ガス排出量を削減するとともに、事業を通じて社会や顧客に価値提供を進めることで、持続可能で豊かな社会の実現に向けて貢献していきます。
2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください
Scope1排出量については、大半が社有車によるガソリン使用によるものであることから、ガソリン単独車ゼロを目指し、2021年度よりハイブリッド車などのエコカーの導入・切替を優先的に行っています。エコドライブの推進にも注力しており、2010年度より音声ガイダンス付き車載器を導入し、安全運転啓発を通じて燃費の改善を行ってきました。さらに、2024年度より新たなエコドライブツールを活用し、ガソリン由来のCO2排出量削減に向けた社内実証に着手しました。
Scope2排出量については、オフィスや事業所における電力消費によるものであるため、電力会社から提供される電力について再エネプランへの切替を進めており、既にデータセンター1拠点を含む複数の拠点で切替を完了しました。また、再エネプランへの切替が困難な拠点については、非化石証書の活用によるScope2削減を進めているところです。また、一部の自社所有施設において、太陽光発電システムや蓄電池等のエネルギー関連設備を導入しています。
こうした取り組みにより、2023年度における当社全体の電力消費量のうち、再エネ電力が占める割合は約69%となりました。今後も、再エネプランへの切替や非化石証書の導入を進めることで、2024年度にScope2排出量実質ゼロの達成を計画しているとともに、今後は、様々なアプローチで追加性のある再エネ導入を進めていく予定です。
また、オフィスにおける電力消費量削減と可視化の実践として、芝浦本社ビルにおいて、一部のオフィスエリアの電力消費量とCO2排出量のリアルタイム可視化実証を行っています。今後は、可視化エリア・拠点の拡大を目指すとともに、ビル管理システムと連動させることにより、最適な省エネ制御を支援し、電力消費量の削減を促進するソリューションとしての活用も想定しています。
その他、環境保全に向けた活動として、NPO法人と連携した森林保全や生物多様性に関する従業員向け教育や、休耕田を活用した田んぼ作りプロジェクトを行っています。2012年から開始した田んぼ作りプロジェクトでは、地元の方々にご支援・ご協力いただきながら、田植えや稲刈りなど、年間を通した活動を通じ、従業員の環境保全への意識啓発を図ってきました。昔ながらの有機農業による環境保全はもとより、休耕田の再生で田んぼの生態系サービス機能を復元して、田んぼを含む周辺の生態系保全を目指しています。

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください
当社のサプライチェーン排出量のうち、Scope3排出量が約99%を占めることから、Scope3排出量の徹底した可視化と精緻化を進めるとともに、サプライチェーンにおける温室効果ガス削減を推進しています。
サプライチェーン上流においては、サプライヤー各社に対して、気候変動や生物多様性等を含めたサステナビリティへの対応に関する宣言書の提出をお願いしています。また、アンケートを通じて、毎年、主要サプライヤーの温室効果ガス排出量や気候変動に対する取り組み状況を調査するなど、サプライヤー各社を巻き込んだ取り組みを行っています。これらの取り組みが評価され、CDPによる2023年度「サプライヤー・エンゲージメント評価」において、最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」の一社に選定されました。
サプライチェーン下流においては、環境に配慮したさまざまなソリューションを提供するとともに、関連する製品・サービスの開発・普及に取り組んでいます。こうした当社の事業を通じた温室効果ガス排出削減量を定量化するため、現在、当社ソリューション・サービスの温室効果ガス削減貢献量の算定に順次取り組んでおり、今後、ホームページ等の媒体を通じて、積極的に開示を進めていく予定です。また、環境大臣による産業廃棄物広域的処理の認定のもと、NEC製情報通信機器(コンピュータ、通信機器など)の回収およびリサイクルを行っており、廃棄物による温室効果ガス排出削減に貢献しています。
こうしたサプライチェーン全体での活動を今後一層推進することにより、社会全体の温室効果ガス排出量削減にも貢献していきます。

4.GXリーグでの活動について教えてください
当社は、すべての事業を気候変動対応型に移行することを宣言し、当社が目指す社会像である「コミュニケーションで創る包括的で持続可能な社会」の実現に向けた取り組みを進めています。こうした当社のサステナビリティに対する姿勢は、GXリーグの設立目的と一致していると捉え、参画を決定しました。
2023年度の参画以降、GXリーグの取り組みに積極的に参加しています。特に、2023年度の市場ルール形成WGの一つである「GX人材市場創造WG」では、メンバー企業の一社として議論に参加し、WGの成果物である『GXスキル標準』の作成に貢献しました。
当社は自らが推進する自社実践と共創に基づき、GXリーグにおいてリーダーシップを発揮し、2050年のカーボンニュートラル達成および持続可能な社会の実現に貢献していきます。