三菱ケミカルグループ株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 当社グループは、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」をKAITEKIと表し、KAITEKIの実現をリードすることをパーパスに掲げ、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献することをめざしています。
その一つとして、2021年10月に2050年カーボンニュートラル実現に向けた方針を策定しました。
・2030年度までにGHG排出量(Scope1+2)を、グローバルで29%削減する。(2019年度比)
・2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルを達成する。
 そして持続可能な発展に貢献する製品・サービス・価値を提供すべく、市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオを形成し、事業活動に取り組んでいます。

2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ
2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 2030年度までの排出削減目標を達成するため、自家発電設備の燃料転換や再エネ由来電力の導入、省エネ対応などを進めています。
 2019年以降、燃料の脱石炭設備対応を進めており、一部国内事業所において石炭ボイラーを停止しました。また中日本事業所・岐阜県大垣地区にて、2017年に太陽光発電設備を導入しました。さらに2022年3月には、大垣市が販売する「環境価値(グリーン電力)」を購入し、大垣市産グリーン電力証書の交付を受けました。海外でも、戦略的な再配置施策とグリーン電力への転換により削減を進めており、今後再生可能エネルギーで稼働する拠点をさらに拡大していく予定です。
 また、2050年カーボンニュートラルを実現するために、必要な技術の開発と実装にも取り組んでいます。例えば、Abu Dhabi Future Energy Company PJSC-Masdar、そして(株)INPEXと共同で、アブダビの太陽光と水を利用し、CO2を原料としたポリプロピレン製造の事業化検討を行っています。当社グループが保有するメタノールを原料にしてプロピレンを直接製造する技術を活かし、幅広い分野の低・脱炭素化に貢献することをめざしています。

2030年度までの削減計画
2030年度までの削減計画

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 製品のライフサイクルに関する様々な取り組みを行い、低環境負荷な製品・サービスの提供をしています。
 例えばプラスチックについては、化石資源の投入と焼却・埋め立てをなくし有限な資源を循環させる姿を目指しています。そのために、環境配慮の製品設計や、原料転換(バイオマス、炭素・水素、リサイクル材の活用)、様々な素材のケミカルリサイクル・マテリアルリサイクルの検討などを行っています。その例として、茨城事業所では、ENEOS(株)と共同で、国内最大規模となる年間2万トンの処理能力を備えた廃プラスチック油化設備を建設しました。
 そしてLCA(ライフサイクルアセスメント)を、CNを達成するためのツールとしてとらえ、R&D、製造、製品提案など様々な場面で活用しています。そのための基盤として、2022年度に三菱ケミカルの国内事業所・工場で生産される 全製品のカーボンフットプリントを算定できる体制を確立し、 2023年度は国内外主要グループ会社の製品へと算定体制を 拡大しました。
 さらに社会全体のCN達成のために、同じ志を持つパートナーとの連携を積極的に行っています。例えば、2022年9月に茨城県と戦略的パートナーシップ協定を締結しました。鹿島臨海工業地帯の循環型コンビナートの形成・カーボンニュートラル産業拠点の創出を目指しています。

三菱ケミカルのプラスチック循環への取組み
三菱ケミカルのプラスチック循環への取組み

4.GXリーグでの活動について教えてください

 三菱ケミカルグループは、2022年2月に経済産業省から公表された「GXリーグ基本構想」が自社の活動の方向性に合致すると考え、賛同しました。2022年6月に開催されたGXリーグのキックオフイベントにも登壇し、自社の取り組みを紹介させていただきました。そして、2023年からGXリーグに参画しました。
 当社は、GXLが実施しているGX経営促進ワーキング、適格カーボン・クレジットワーキング、ビジネス機会の創発、市場創造にむけたルール形成などの活動に積極的に参加しています。
 当社グループは、培った経験と革新的な技術を駆使しながら、環境への責任を果たし、健全な社会を実現し、そして経済の発展へとつながる道を切り拓いていきます。