関西電力株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 関西電力グループは、持続可能な社会の実現に向け、ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニーとして、安全確保を前提に安定供給を果たすべく、エネルギーの自給率向上に努めるとともに、地球温暖化を防止するため、発電事業をはじめとする事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロとすることを、『ゼロカーボンビジョン2050』において宣言しています。

 さらに、この長期的ビジョンの実現に向けた道筋を定めたものとして、『ゼロカーボンロードマップ』を公表しています。取組みを着実に進捗させるべく、2030年度を中間地点と位置づけ、 以下の通り、2030年度におけるサプライチェーン全体の温室効果ガス削減目標を含むチャレンジングな目標を設定しています。

○温室効果ガス(GHG)削減目標(2013年度比)

・当社の事業活動に伴う排出量(Scope1,2):
2025年度時点で55%削減
2030年度時点で70%削減
・サプライチェーン全体の排出量(Scope1,2,3):
2030年度時点で50%削減

○削減貢献量目標

・社会全体のCO2排出削減量(Scope4) :
2030年度時点で700万t以上

 当社グループは、『ゼロカーボンビジョン2050』の実現に向け、引き続きあらゆるステークホルダーの皆さまと力をあわせて社会全体のゼロカーボン化に取り組んでいきます。

ゼロカーボンロードマップ改定にあたって~新たな目標値の設定~
ゼロカーボンロードマップ改定にあたって~新たな目標値の設定~

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 当社グループは『ゼロカーボンロードマップ』において掲げているように、「グループ自ら取り組むこと」として、「再エネ」「原子力」「ゼロカーボン火力」「CCUS」「水素」「送配電」の各領域で、ゼロカーボンに向けた様々な取組みに挑戦します。

○再生可能エネルギー

 これまでに、国内トップレベルの水力電源の開発・保有に加え、多様な再エネ電源の開発を推進しています。
今後においても、ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニーとして、開発ポテンシャルの大きい洋上風力を中心に、エンジニアリングや販売面も含めた開発推進体制を強化し積極果敢に取り組んでまいります。
開発目標として、2040年までに国内で1兆円規模の投資を行い、新規開発500万kW、累計開発900万kW規模を目指します。

○原子力

 安全最優先を大前提に、原子力の最大限の活用に向け、取り組んでまいります。足元は原子力発電所の運用高度化を図りつつ、革新軽水炉等による新増設・リプレースに向けた検討を進めるとともに、水素製造への活用により、原子力のさらなる可能性の拡大を目指します。

○ゼロカーボン火力

 ゼロカーボン燃料の活用については、既設発電所の改造やリプレースなど、2030年頃の混焼実現に向けた検討を進め、2050年までには専焼化を目指します。CCUSについては、既設発電所への追設やリプレースなど、2030年頃の導入に向けた検討を進め、2050年に向けてCO2分離・回収量の拡大を目指します。

○CCUS

 排ガスからCO2を分離・回収し、地中に安定的に貯留する「CCS」の実現に向けて、CO2の液化・輸送・貯留のバリューチェーン構築を進め、火力発電のゼロカーボン化とともに、地域のお客さまのCO2を分離・回収するなど、社会全体でのCCS実装に向けて取組みをリードします。
 さらに、分離・回収したCO2を合成メタンなどに加工し有効利用する「CCU」についても検討を進めます。

○水素

 2030年頃の水素等サプライチェーン構築を目指し、足元から幅広く検討や準備を進めております。
 海外調達の準備を進めるとともに、国内製造にも取り組み、安価な水素の本格調達を目指します。また、自社火力発電での活用、運輸・産業分野などの他産業のお客さまへの販売を通じ、2050年に向けて事業拡大に取り組んでまいります。

○送配電

 安定供給に努めると共に、導入拡大する再エネを活かすための連系線・基幹系統の整備強化、系統運用の広域化や温室効果ガス低減機器の導入拡大等送配電事業におけるあらゆる機会での脱炭素化に取り組んでまいります。
 加えて、蓄電池やEVの活用に向けたVPP制御システムの構築や電力データによるサービス強化、再エネを最大限活用する高度な系統運用の実現などにより、ゼロカーボン化の基盤となる電力ネットワークの次世代化を進めます。

ロードマップの全体像
ロードマップの全体像

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 関西電力グループはお客さまや社会の皆さまと取り組む4つのアプローチとして、「省エネ」「電化」「創エネ(蓄エネ)」「オフセット」に取組んでいます。

 「業務・産業分野」「家庭分野」「運輸分野」「コミュニティ分野」等のお客さま・社会の皆さまに向けた各種サービス提供を通じて、2030年度までに、関西エリアの削減想定量の3割に相当する700万t以上の削減貢献量(Scope4)を目指します。

○業務・産業分野

 ゼロカーボンの実現に向けた計画策定から具体策の実行に至るまでの様々なサービスを、お客さまの実態に応じてカスタマイズしたソリューション(ゼロカーボンパッケージ)としてご提供します。

○家庭分野

 省エネ・創エネ・蓄エネの住宅設備およびオール電化向け料金メニューの採用促進による電化を中心に、住宅設備と電気料金を定額パッケージでご提供するサービスや、CO2フリーの料金メニューの組み合わせによりゼロカーボンプランに貢献するご提案を推進します。

○運輸分野

 車両導入と併せた充電やエネルギーマネジメントサービス等をワンパッケージでご提供します。また、公衆エリアへのEV充電器の設置やEV船・空飛ぶクルマ等の導入サポートにより、陸・海・空におけるモビリティ分野の電化を推進します。

○コミュニティ分野

 様々な地域課題(地域経済活性化・レジリエンス向上など)も踏まえつつ、自治体やディベロッパーなどの皆さまと連携し、当社グループの様々なソリューションや新技術を組み合わせた幅広いサービス提供します。

お客さまや社会の皆さまと取り組む4つのアプローチ
お客さまや社会の皆さまと取り組む4つのアプローチ

4.GXリーグでの活動について教えてください

 GXリーグでは、参画企業が、カーボンニュートラルにいち早く移行するための挑戦を行い、自ら以外のステークホルダーを含めた経済社会システム全体の変革を牽引していくことが重要とされています。

 当社は、「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向け、自らのゼロカーボン化のみならず、あらゆるステークホルダーの皆さまと力を合わせ、社会全体のゼロカーボン化にも取り組むこととしています。この当社の考え方と、GXリーグの取り組む目的は合致しており、当社はGXリーグに参加しています。

 なお、当社は、2023年度より、GXリーグにおける市場ルール形成の取組である「GX経営促進WG」「適格カーボン・クレジットWG」「GX人材市場創造WG」、参画企業間の交流による情報連携や相互理解・創発を行う場である「GXスタジオ」、GXの加速化につながる新たなビジネスの創発に向けたスタートアップ企業との対話の場である「ビジネス機会創発の場」等の取り組みに、積極的に参加しています。