中国電力株式会社
1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください
世界がカーボンニュートラルに向けた動きを加速させる中、当社はグループ大での取り組みを進めるべく、2021年2月、「中国電力グループ『2050年カーボンニュートラル』への挑戦~脱炭素社会の実現に向けたギアチェンジ~」を公表した。
また、国において炭素排出に対する規制強化や脱炭素化に向けた政策支援等の動きが加速している状況を踏まえ、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組みを具体化させるため、2022年6月にカーボンニュートラル推進本部を設置し、2023年4月に「中国電力グループ カーボンニュートラル戦略基本方針」を公表している。本方針で、当社は2030年度に小売電気事業と発電事業の二酸化炭素(CO2)排出量を2013年度比で半減する目標等を設定している。
当社グループは、エネルギー供給を通じた脱炭素社会の実現と地域の発展およびカーボンニュートラル実現に向けた技術の開発に取り組み、これからも持続的な社会の実現に挑戦するとともに、中国地域を基盤とする事業者として、地域の皆さまと協力し、地域のカーボンニュートラルに貢献していく。
2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください
「中国電力グループ カーボンニュートラル戦略基本方針」にて設定した2030年度目標の達成に向け重点施策を掲げており、カーボンニュートラル電力の活用拡大、火力発電のトランジション、再生可能エネルギー電源の確保、エネルギーサービスの展開、新規ビジネスの検討、地域課題への対応等に取り組んでいる。
【原子力】
- 原子力は発電時にCO2を排出しないため、脱炭素化の目標達成に必要不可欠な電源である。
- 島根原子力発電所2号機は2024年8月の再稼働(2023年9月公表)に向けて、安全対策工事と残りの審査を進め、また、島根原子力発電所3号機の審査についても遅滞なく進めていく。
【再生可能エネルギー】
- 再生可能エネルギーは経営ビジョンで新規導入30~70万kWを掲げており、導入拡大を進めていく。
- 2023年3月末時点で新たに約28万kWを導入済み。2023年度中には30万kW程度まで増える見込みであり、2030年度CO2排出量削減目標および2050年カーボンニュートラルの実現に向けてさらなる導入拡大を図る。
- 今後は特に成長分野と見込まれる洋上風力の開発を積極的に進めることで、引き続き最大限の導入に取り組む。
【火力】
- 再生可能エネルギーの導入拡大が進む中で、需給運用における調整力として火力の重要性を認識。
- 電気の安定供給と自社電源の脱炭素化を両立するためには、再エネの導入拡大、火力発電所の脱炭素化、原子力発電の活用等、複数の選択肢を組み合わせて課題を解決していく必要がある。
- 今後はアンモニアや水素など次世代燃料の導入について検討を進めていく。
3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください
当社が小売電気事業で供給する電気は、自社発電所からの電気のほか、卸電力取引所等の自社発電所以外からも電気を調達しており、サプライチェーン排出量のうち、Scope3に該当する排出量はこれらが大部分を占める。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、発電事業におけるCO2排出量の半減に加え、小売電気事業におけるCO2排出量の半減を目指すことで、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減を目指していく。
また社会全体のCN達成に向けた取り組みとして、お客さまへの貢献にあたっては、再生可能エネルギーを活用した電気料金メニューや、分散型エネルギーリソースを活用したサービスなど、お客さまの脱炭素化ニーズにお応えするサービスの展開に取り組む。
地域の脱炭素化への貢献にあたっては、環境省の募集した「第3回脱炭素先行地域」に選定された島根県松江市の脱炭素化に向け、共同提案者として取り組んでいる。本取り組みでは、「『国際文化観光都市・松江』の脱炭素化による魅力的なまちづくり~カーボンニュートラル観光~」をテーマに掲げ、松江市内の代表的な4つの観光エリアを設定し、太陽光発電電力の供給、温泉宿泊施設の給湯機器の省エネ仕様への転換、温泉熱の利活用、リユースパネルを活用した太陽光発電所の建設など、カーボンニュートラルの実現に向けた施策を展開し、持続可能な観光の実現を図ることとしている。
今後、当社はグループが一体となって、S+3Eを前提に、火力発電のトランジション等、ロードマップに沿ってできることをバランス良く着実に進めていくことでカーボンニュートラルの実現を目指すと同時に、地域の皆さまとしっかり対話を図り、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが豊かな社会の創造につながるよう、当社グループの総合力を結集していく。
4.GXリーグでの活動について教えてください
当社は、2050年カーボンニュートラル実現に伴うビジネス機会の創出、市場ルールの形成等に関して、他の「GXリーグ基本構想」賛同企業等と議論し、脱炭素に関する知見を蓄えてきた。こうした取り組みを踏まえ、2023年4月、GXリーグへ参画することを決定した。
GXリーグへ参画することで、温室効果ガスの排出削減を着実に進めるとともに、お客さまや取引先と協働し、持続的な社会の実現に向けて挑戦していく。
GXリーグでは、主に市場ルール形成WGで活動しており、2023年度に組成された3つのWG(「適格カーボン・クレジットWG」、「GX経営促進WG」、「GX人材市場創造WG」)の全てに参画し、カーボンニュートラル時代の市場創造に向けたルールメイキングの検討等を行っている。
それぞれのWGでは、業界横断的な議論に参加し、エネルギー事業者としての意見を提示している。