大成建設株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 大成建設グループは「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、自然との調和の中で、建設事業を中核とした企業活動を通じて良質な社会資本の形成に取り組んでいます。
 2050年に向けてグループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を定め、「3つの社会(①脱炭素社会、②循環型社会、③自然共生社会)」の実現と、「2つの個別課題(森林資源・森林環境、水資源・水環境)」の解決を目指しています。
 ①脱炭素社会の実現に向けては、2050年目標を「CN カーボンニュートラルの実現・深化」とし、削減目標は、スコープ1+2、スコープ3のいずれも0としています。2030年目標のCO2排出量削減目標は、2019年度比で、スコープ1+2を▲40%、スコープ3を▲20%です。
 ②循環型社会の実現に向けては、2050年目標を「CE サーキュラーエコノミーの実現・深化」とし、グリーン調達率100%と建設副産物の最終処分0%を目指します。
 ③自然共生社会の実現に向けては、建設事業に伴う負の影響の最小化と自然と共生する事業による正の影響の最大化により、2050年の「NP ネイチャーポジティブの実現・深化」を目指しています。

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 大成建設グループのスコープ1は、主に建設工事で使用する重機の燃料、アスファルトを製造する合材工場やプレキャストコンクリートを製造するPC工場で使用する燃料に由来します。スコープ2は、本支店、営業所、工場や作業所で使用する電力や熱などに由来します。
 スコープ1の削減に向けては、重機のハイブリッド化・電動化、代替燃料の使用などの取り組みを進めています。また、スコープ2の削減は再生可能エネルギー電源の保有に加えて、2カ所の支店支店社屋及び1カ所のプレキャストコンクリート工場をグリーン・リニューアル®ZEB化しました。
 スコープ2の削減に向けては、2030年度までに自社グループの電力消費量を賄うことを目的として再生可能エネルギー電源保有を進めています。スコープ2のゼロエミッション化にあたって、自社保有電源から生み出される環境価値(非化石価値)を活用していきます。
 社員一人ひとりの活動として、環境目標達成のためにグループ全社員が参加する環境負荷低減活動TSA:TAISEI Sustainable Action®に取り組んでいます。2011年に始まった作業所の基本的な取り組みである「CO2ゼロアクション*」に加えて、2018年には環境負荷低減に効果のある技術や活動など具体的な取り組みをまとめた「TSAアクションリスト」を作成しました。2020年から活動効果を見える化・定量評価する「TSAポイントシステム」を導入し、社員の意識改革と行動変容につなげています。また、TSA の普及促進と具体的な活動の水平展開を目的として「TSA 通信」を四半期ごとに全役職員に配信しています。
 また当社では、環境目標の達成に向けた取り組みに関する表彰制度を設けており、他の部門の模範となる環境負荷低減活動を評価し、社員の環境に対する意識の向上に努めています。

*CO2ゼロアクション:全作業所が取り組む環境負荷低減活動。重機・車両のエコドライブや点検整備、エアコンの温度設定抑制など7つのアクションがある

大成建設グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」
大成建設グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 大成建設グループのスコープ3は、主に建設工事で使用する鋼材やコンクリートなどの資材が製造されるまでに排出されるCO2(上流)と、引渡後に建物が使用される際に排出されるCO2(下流)によるものです。スコープ3のCO2排出量を削減するために、CO2負荷の少ない材料の選定(グリーン調達)を推進しています。また、独自技術であるCO2排出量を大幅に削減する環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」やCO2を固定化した木材を利用した木質化建築の技術開発と普及を推進しています。
 更に、引渡後に建物から排出されるCO2を削減するために、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のトップランナーとしてZEBの進化・普及に取り組むとともに、既存建物をリニューアルしてZEB化するグリーン・リニューアルZEBや、建物の調達段階・施工段階・運用段階のライフサイクル全体にわたって排出されるCO2トータルの収支でゼロにする「T-ZCB(ゼロカーボンビル)」の推進にも取り組んでいます。
 建築物のライフサイクルにおけるCO2排出量を実質ゼロにするゼロカーボンビルの建設を推進するため、初期計画段階で建築物のライフサイクルCO2排出量及びCO2削減技術の効果を可視化し、建築物の脱炭素化を体系的に評価するシステム「T-ZCB(ゼロカーボンビル)」を構築しました。
 本システムの適用により、お客様のCO2排出量削減目標に沿った建設計画の立案を支援し、カーボンニュートラル社会の実現を目指します。また、現在施工中の大成建設グループ次世代技術研究所の建設において、「T-ZCB」を適用し、その有効性を検証していきます。
 当社は、都市部の狭い敷地でも、日照条件にかかわらず建物単体で年間エネルギー収支をゼロとする「都市型ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)」を定義し、2014年に技術センター(横浜市)に「ZEB実証棟」を新設しました。その後大成建設グループは、これまでオフィスビル、公共研究施設、リニューアル等豊富な実績とノウハウを積み重ねてきました。環境配慮や不動産価値の向上につながるソリューションとしお客様に提案を行うことにより、様々な施設におけるZEBの普及・展開に取り組んでいます。また、既存建築物を環境負荷の少ない建築物に改修する既存建物のZEB化「グリーン・リニューアルZEB」を積極的に推進していきます。

大成建設グループが目指す「脱炭素社会」実現へのロードマップ
大成建設グループが目指す「脱炭素社会」実現へのロードマップ

4.GXリーグでの活動について教えてください

 GXリーグでの「CN時代の市場創造・ルールメイキングの議論」に参加したく、GXリーグに参加しました。
 2022年度は、GX未来像策定WGのコアメンバーとして「モノづくりは「円環」型になり、循環経済が実現」を共同提案、GX経営促進WGに参加しそこで策定された「気候関連の機会における開示・評価の基本指針」に従って削減貢献量を情報開示、GXスタジオに参加し第3回「サプライチェーン全体でGXを推進するには」では当社の取り組みを発表、などを行いました。2023年度は、グリーン商材付加価値WGに参加し「グリーン商材の付加価値付けに関する提言書」を共同執筆しました。