野村ホールディングス株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 野村グループは、パリ協定の趣旨に賛同し、2021年9月、脱炭素社会の早期実現に向けた3つの目標を公表しました。
①2030年までに当社の拠点で排出する温室効果ガス排出量(Scope1/2)のネットゼロ達成、②2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量(Scope3,Category15)のネットゼロ達成、③2026年3月までの5年間で1,250億米ドルのサステナブル・ファイナンス案件に関与することを目指しています。
 パリ協定の1.5°C目標を達成するためには、2023年から2050年までの累計で150兆米ドルの投資が必要との報告もあります。年平均にすると、毎年約5兆米ドルの投資が必要となり、これは2022年の年間投資額の4倍以上の規模に相当します。
脱炭素社会実現のためには、既存の技術だけでは達成困難であり、核融合など革新的なテクノロジーの開発・実用化・普及が必要です。クライメートテックへの関心も高まっています。その担い手として、スタートアップはもちろん、歴史ある企業であっても、新しい挑戦を続けているところも少なくありません。私たちの使命は、お客さまの挑戦を、資金調達やM&Aアドバイザリーサービスなど、金融の側面からお手伝いすることです。いっしょに、一歩ずつ豊かな未来を作っていくことに、金融の存在意義があると思っています。
 野村グループの経営ビジョンは「社会課題の解決を通じた持続的な成長を実現すること」です。社会全体の持続的な成長と当社の企業価値向上は同じ道の上にあります。世界中のすべての社員が誇りを持ってビジネスに取り組み、サステナブルな社会を実現するための努力を続けてまいります。

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 当社拠点で排出する温室効果ガス排出量のネットゼロ(Scope1/2)については、排出削減の取り組みの継続、省エネルギーの促進に加え、再生可能エネルギーの導入を段階的に拡大し、2030年までに当社が利用する電力を100%再生可能エネルギー起源の電力に切り替え、2030年までのネットゼロを目指します。
 2022年度の当社拠点における温室効果ガス排出量は26,656t-CO2(マーケットベース)となり、2021年度と比較して21%削減しています。また、再生可能エネルギーの導入比率は、2022年度で67.8%となっており、2030年度までの導入比率100%にむけて、2023年度50%以上としていた中間経過目標を超過して進捗しています。

ネットゼロ実現の移行計画
ネットゼロ実現の移行計画

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 当社はサステナブル・ファイナンスを拡充することで、社会全体のカーボンニュートラル達成に取り組んでいます。
サステナビリティをテーマとしたファイナンス、アドバイザリー、コンサルティング・サービス等を取り扱っており、インベストメント・バンキング内にさまざまな専任チームを設け、国内外の多様なサステナブル・ファイナンス案件を組成してきました。2022年10月には新たにサステナブル・ファイナンス部を設立し、非財務情報の開示に関するアドバイス等サステナブル・ファイナンス関連の社内機能を集約し、高い専門性のもと、付加価値のあるアドバイスを提供しています。
 また、その取り組みをより強化・促進するため、2021年度から2026年3月までの5年間に国内外で1,250億米ドルのサステナブル・ファイナンス案件に関与するという目標を、2021年に設定しています。本目標には、公募・私募による株式・債券・メザニン債等を通じた資金調達案件、インフラストラクチャー・プロジェクト・ファイナンス案件等を含みます。
 この目標達成とともに、更なるサステナブル・ファイナンスの拡充に向けて、以下の取り組みを進めています。

■トランジション・ファイナンスへの取り組み
 サステナブル・ファイナンスの中でも、企業が低炭素社会への設備投資や研究開発に必要となる資金を調達する「トランジション・ファイナンス」への需要が拡大することが見込まれることから、トランジション・ファイナンスへの取り組みを強化しています。2022年度、債券発行市場において、当社は経済産業省の定めるフレームワークに基づくトランジションボンドのストラクチャリング・エージェントおよび主幹事を務めました。

■エネルギー関連インフラストラクチャーへのファイナンスの取り組み
 当社は、サステナブル・ファイナンスの主力事業の一つであるエネルギー関連インフラストラクチャーに関するプロジェクトへのファイナンス(インフラストラクチャー&パワー・ファイナンス)について、2017年に専属チームをニューヨーク拠点に設けて以来、各地域において取り組みを強化しています。2022年7月には、グローバルな体制整備を行いました。

■グローバルな連携強化
 ホールセール部門長のもと、サステナブル・ファイナンスを提供するグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングの社員を中心にグローバルに連携し、サステナブル・ファイナンス分野におけるビジネス機会の追求等を行っており、サステナブル・ファイナンスへの取り組み強化の重要な役割を担っています”

サステナブル・ファイナンス実績
サステナブル・ファイナンス実績

4.GXリーグでの活動について教えてください

(参加した目的)
‐GXリーグの「カーボンニュートラルに向けた社会構造変革のための価値提供を目指す」という設立目的への賛同
‐カーボンニュートラル社会に向けて、意欲的に取り組む他参加企業との意見交換

(GX経営促進ワーキング・グループにおける幹事企業としての貢献)
‐2022年9月の発足以来、GX経営促進WGの運営を幹事企業としてリードしており2023年3月には「気候関連の機会における開示・評価の基本指針」を発行しました。また、2023年12月には「削減貢献量‐金融機関における活用事例集‐」を発行し、COP28のジャパンパビリオンにおけるセミナーに本WGを代表して登壇、事例集について紹介しました。
‐2022年度に開催されたGXリーグシンポジウムへの登壇やGXリーグWEBサイトでの対談を通じて本WGの取組みを積極的に発信しました。
‐野村アセットマネジメントの運用サイドの視点、野村證券インベストメント・バンキングによる発行体・企業サイドの視点、野村サステナビリティ研究センターのリサーチを踏まえた観点など、グループの総合力を活かし、WGの議論・運営に貢献しています。

COP28においてGX経営促進ワーキンググループの取り組みを発表
COP28においてGX経営促進ワーキンググループの取り組みを発表