長瀬産業株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 グローバルに事業を展開する NAGASE グループにとって、気候変動への対応はグループ全体で取組むべき重要な課題と認識しています。NAGASE グループは商社機能に加え、製造・加工機能を有することから、「商社業/製造業」と「可視化/削減」の 2 軸 4 象限に分類し、以下の気候変動課題に関する目標達成に向けて取り組んでいます。

【目標】
・2050年 カーボンニュートラルの達成(Scope1,2)
・2030年 Scope1,2 46%削減(2013年比)、Scope3 12.3%以上削減(2020年比)
※Scope3については今後サプライチェーンとの対話により目標値更新も検討

 また、弊社の中期事業計画「ACE2.0」(2021~2025年度)においても、カーボンニュートラル実現に向けて以下の非財務目標を設定しております。

【ACE2.0目標(2025年)】

(連結) Scope1,2削減率37%以上(2013年比)
再生可能エネルギー発電・導入による削減量35,000t以上(累計)
(単体) Scope2ゼロエミッション
グループ全体

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

【取り組み①:バーチャルPPAサービスの利用】
 弊社の中期経営計画ACE2.0で掲げる非財務目標「Scope2ゼロエミッション(長瀬産業単体)」に向けた取り組みの1つとして(株)クリーンエナジーコネクトが提供するバーチャルPPAサービスを活用した、弊社で初のバーチャルPPAサービス契約を締結しました。
 本契約により、弊社は、新たに開発するNon-FIT太陽光発電所が創出する“追加性”のある環境価値の全量を非FIT非化石証書として長期にわたって調達します。太陽光発電所の年間想定発電量は約224万kWhを見込んでおり、長瀬産業(単体)の使用電力量(2022年度)の約40%に相当します。本バーチャルPPAの活用により、年間約916t-CO2の温室効果ガスの削減が期待されます。
 なお、発電所は2024年7月以降運転開始予定で、創出された追加性のある環境価値は長瀬産業およびNAGASEグループで使用される電力に順次活用していきます。

【取り組み②:エネルギー消費と温室効果ガス排出削減のための様々なアクション】
1)カーボンクレジット購入
NAGASEグループでは2022年度、森林管理によるカーボン・クレジットを485t-CO2購入しています。このクレジットは、検証済みクレジットとなります。(移転元法人名 梼原町 移転先法人名 長瀬産業株式会社)

2)グループ会社 ナガセケムテックス(株)のエネルギー改善策
NAGASEグループのナガセケムテックスで2022年12月にボイラーの更新を行い、燃料(LNG)起因によるCO2排出原単位を約4%改善しました。

3)グループ会社 ナガセヴィータ(株)の廃熱再利用などの取り組み
NAGASEグループのナガセヴィータ(株)では、各生産工場の省エネ(廃熱再利用、不良蒸気トラップの更新管理、貯槽殺菌条件見直し等)を推進しています。

NAGASEグループ温室効果ガス排出量実績と目標(Scope1,2)
NAGASEグループ温室効果ガス排出量実績と目標(Scope1,2)

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

【取り組み①:「Zeroboard」を活用したサプライチェーン上のGHG排出量算出・可視化】
 社会全体での脱炭素への意識を高め、取り組みを進める一歩として、長瀬産業は(株)ゼロボードへ出資、サプライチェーン全体をカバーするGHG排出量算定・可視化クラウド「Zeroboard(ゼロボード)」の提供を進めています。
 「Zeroboard」により、自社だけでなく、企業活動やそのサプライチェーンで生じるGHG排出量(Scope 1,2,3)、および製品別・サービス別のGHG排出量(カーボンフットプリント)の算定・可視化もできるようになります。また、ユーザー企業間でGHG排出量データを連携して共有できるだけでなく、使いやすいインターフェースや、中小企業でも導入しやすい低価格帯のプランも展開することで、作業負担やコスト面といった課題にも対応しています。
 弊社では、創業以来、化学業界で培ってきた専門性や、サプライチェーンの川上から川下におけるお取引先1 社1 社との強固な関係など、NAGASEグループならではの強みを活かし、「Zeroboard」で可視化されたGHG排出量をもとに、ソリューションの開発・提供まで含めた、トータルなサポートを行い、企業の脱炭素経営を全面的に支援していく考えです。

【取り組み②:実製品のサプライチェーンを対象とした、1次データによるGHG排出量算定スキーム確立】
 弊社はWorld Business Council for Sustainable Development(持続可能な開発のための世界経済人会議:以下「WBCSD」)が主催するPACT Implementation Program(以下「PACT」)に富士通(株)・(株)ゼロボードと3社共同で参加し、実際に富士通(株)が販売するノートパソコンのサプライチェーンを対象に素材、成形、組み立て製造を含む複数の段階でGHG排出量の一次データを収集・連携し、最終製品のGHG排出量を算出することに成功しました。
 これまでも企業が仕入先からGHG排出量の一次データを収集する取り組みはありましたが、仕入先からさらにその先に位置する企業の一次データ収集は商流の複雑さや対応の工数等が課題となり、実現が困難とされていましたが、弊社は「素材メーカーや成形メーカーとの強固なネットワーク」と「これまでの脱炭素経営支援の取り組みで培ったノウハウ」で今回のプログラムに貢献しています。
 弊社では、今回の取り組みを通じて得られた一次データ収集に関する知見や、成形・加工メーカー向けの算定支援ノウハウなどを活用し、サプライチェーン連携に課題を抱える取引先の支援をさらに強化していくことで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

取り組み② 実装プログラムのイメージ(出典:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/09/13.html)
取り組み② 実装プログラムのイメージ(出典:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/09/13.html

4.GXリーグでの活動について教えてください

 NAGASEグループでは、気候変動への対応はグループ全体で取組むべき重要な課題として認識し、カーボンニュートラル実現に取り組んでいますが、そのためにはサプライチェーンのCO2排出量算出・可視化を通じたサプライチェーン全体での削減が必要だと考えています。
 そこで、弊社では、顧客やパートナー企業、サプライチェーン全体と協力し、脱炭素・カーボンニュートラル実現の道を進むため、他の企業との連携を強化しており、GXリーグにおいても、他の参加企業との意見交換・協働を目的に参加いたしました。

 弊社には、創業以来、化学業界で培ってきた専門性や、サプライチェーンの川上から川下における取引先1社1社との強固な関係とネットワークがあります。これらを活かしながら、様々な企業と協働を通じ、サプライチェーン・社会全体での脱炭素・カーボンニュートラル実現に貢献していきたいと考えます。