栗田工業株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

指標と目標

 クリタグループは、サステナビリティへの取り組みを推進するため、2023年度から新たに重点的に取り組む8つのテーマを「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。気候変動問題の取り組みとなるテーマ「脱炭素社会実現への貢献」においては、パリ協定に沿った取り組みとするため、SBTiが示す手法に沿い、2019年を基準年として2030年にScope1+2の100%削減、Scope3の30%削減。2050年ではScope1+2+3でNet-Zeroを目標に掲げ取り組んでいます。また、後述するCSVビジネスによるGHG削減貢献量目標も設定しています。その他のクリタグループのマテリアリティに紐づく指標・目標については、関連リンクよりご確認ください。

指標と目標
指標と目標

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 指標の基準年となる2019年度におけるクリタグループのCO2排出量は、Scope1+2が約2%、Scope3が約98%となっています。Scope1+2は、その大半はScope2の電力由来のCO2排出であるため再生可能エネルギーの採用を進めるとともに、ガソリン車から電気自動車等に順次切り替えていきます。Scope3は、約70%がカテゴリ11「販売した製品の使用(主に水を送るために用いられるポンプなどの回転機)」によるCO2排出であり、クリタグループの競争優位性向上との両立を図るため後述するCSVビジネスの仕組みを活用して、お客様に提供するソリューションの低炭素化を推進していきます。

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 クリタグループのScope1,2および3の大部分を占めるScope3、特にカテゴリ11の削減は、お客様のScope1および2の削減にもつながることから、重要な取り組みであると考えています。CSVビジネスの提供をはじめ、産業・社会におけるGHGの削減に資するソリューションの開発・提供、および低炭素な事業活動の実践により、サプライチェーン全体で脱炭素社会の実現に貢献していきます。

CSVビジネスの推進

 クリタグループは、従来に比べ節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量の削減に大きく貢献する製品、技術、ビジネスモデルを「CSVビジネス」として定め、クリタグループ全体で推進しています。

代表的な事例

<Off-Site Cleaning and Restoration(OSCAR)>
 水中に含まれる不純物を取り除く上で、RO膜(逆浸透膜)は重要な機能材であり、超純水製造や排水回収分野など、幅広い用途で使用されています。RO膜は、使用されていくうちに汚れが付着し性能が低下するため、定期的な洗浄が必要ですが、従来処理では高い機能回復が見込めないRO膜にOSCARを適用することで、新品に近いレベルまで性能回復することができます。本技術は、M&Aより取得したアビスタ・テクノロジーズ社のもので、RO膜の再利用や性能回復に伴うポンプ動力の低減により、廃棄物の資源化とGHG排出削減に寄与することができます。

<Kurita Dropwise Technology>
 さまざまな工場の生産工程では、蒸気を用いて対象物を加熱する熱交換器が多く存在します。この蒸気式熱交換器の伝熱面では、蒸気が金属表面を通して対象物に熱を与えることで凝縮し、その金属表面で水膜が形成され、この水膜は熱伝達を阻害する要因となることが知られています。Kurita Dropwise Technologyは、熱交換器の伝熱面に撥水性を与えることで、水膜の形成を抑制し、熱伝達率を向上させることにより、生産性の向上や蒸気使用量削減による省エネルギーに貢献することができます。水処理薬品を蒸気に添加するだけで効果を発揮するため、生産設備の停止や大規模な投資をすることなく、GHG排出削減を実現することが可能です。

Kurita Dropwise Technology
Kurita Dropwise Technology

4.GXリーグでの活動について教えてください

 クリタグループは、国内において様々な産業の約20,000社のお客様の工場と、「水」を通じてつながっており、用水、排水、排水回収、冷却・空調、プロセス水処理や廃棄物の有効利用等の、「産業の水から考えるカーボンニュートラル」というアプローチからの活動が出来る企業です。
 GXリーグの活動を通じて「産業の水から考えるカーボンニュートラル」の実現を目指すとともに、カーボンニュートラルに貢献できるソリューションの創出を様々な企業の方とのコラボレーションにより行っていきたいと考えています。