電源開発株式会社
1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください
J-POWERグループでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、「エネルギー安定供給」 と「気候変動対応」の両立を経営の重点課題として位置付けています。2021年2月にこの課題へ対応し、気候変動問題への取組みを加速するべく、2050年のカーボンニュートラルと水素社会の実現に向けたアクションプランとしてJ-POWER “BLUE MISSION 2050”を策定しました。
J-POWER “BLUE MISSION 2050”では、「CO2フリー電源の拡大」「電源のゼロエミッション化」「電力ネットワークの安定化・増強」を3つの柱としています。
J-POWERグループは人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献することをミッションとし、これまで水力、火力、風力、地熱、太陽光による発電および送変電事業に取り組んできました。ミッション達成のために、これまで当社が長年培った総合的な技術力とバランスの取れたポートフォリオをさらに発展させ、多方面からアプローチしていきます。
2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください
J-POWERグループでは、2050年に向けて発電事業のカーボンニュートラルの実現に段階的に挑んでいきます。そのマイルストーンとして、CO2排出量を2013年度比で2025年度に920 万トン、2030年に46%削減を掲げています。
J-POWER “BLUE MISSION 2050”で掲げている3つの柱について、具体的な取り組みは次の通りです。
■ 電源のゼロエミション化
電力の大量・安定供給を担う火力電源は、CO2削減策を講じながら段階的にカーボンニュートラルへ移行します。バイオマスやアンモニアの混焼のほか、実証済の石炭ガス化・CO2分離回収技術による水素発電を拡大していきます。
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2025年度に向けた取り組み
- GENESIS松島計画※1に伴う発電電力量減少
- バイオマス混焼の拡大
- 経年化石炭火力の稼働抑制
※1 松島火力発電所に石炭ガス化設備を付加して、CO₂排出量を減らすとともに将来的なCO2フリー水素発電につなげていくプロジェクト。
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2030年度に向けた取り組み
- バイオマス混焼の拡大
- アンモニア混焼の導入
- 国内CCSの実現
- 経年化石炭火力の稼働抑制・廃止
■ CO2フリー電源の拡大
70年余の再⽣可能エネルギー開発の歴史を有する⽇本の総合トップランナーとして、これまでに築いてきた再エネ資産と知⾒を活かし、発電電⼒量の増⼤(+40億kWh)を目指しています。陸上風力を中心に、洋上風力、小水力、地熱、太陽光など多くの建設プロジェクトに取り組んでいます。また、水車・発電機の一括更新や大型風車への建て替えなど発電電力量増大も推進していきます。
■ 電力ネットワーク
再生可能エネルギーを発電適地から消費地である大都市へ電気を届ける電力ネットワークの拡充も課題となります。J-POWERグループは東西の地域を繋ぐ佐久間周波数変換所の増強に向け工事を進めているほか、直流送 電線・海底ケーブルの知見を活かして日本全体での電力ネットワークの安定化・増強に貢献する事業機会を追求していきます。
3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください
カーボンニュートラルの達成のためには電化を進めることが必要ですが、運輸や製鉄など電化が困難な分野においても脱炭素化を進めるには、大量の水素が必要となります。
地理的制約のある日本では再生可能エネルギーでのCO2フリー水素製造には限界があり、大量にかつ安定的に製造するためには化石燃料由来の CO2フリー水素が必要であると考えます。
資源小国である日本にとって、安価で世界中に存在し、貯蔵性に優れ地 政学的リスクも小さい石炭は、発生するCO2を分離・回収すれば、安価なCO2フリー水素の大量かつ安定的製造に適した⼀次エネルギーとなります。
石炭からのCO2フリー水素製造では、石炭を輸入して国内でCO2フリー水素を製造する方法と、産炭国でCO2フリー水素を製造し日本に輸送する方法があります。それぞれの方法には利点と課題があるため、J-POWERは双方について実証試験を実施し、早く安価で大量の水素を導入することで、将来のCO2フリー水素供給・利用に必要な社会インフラ・バリューチェーンの構築を目指していきます。
4.GXリーグでの活動について教えてください
J-POWERは2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速しており、環境と経済の好循環を作り出すため、カーボンニュートラルにいち早く移行するための挑戦を行い、自ら以外のステークホルダーも含めた経済社会システム全体の変革を牽引していくGXリーグの目指す考えに当社も賛同しGXリーグに参加しています。
2023年度、当社は、GXリーグにおける市場ルール形成の取組である「適格カーボン・クレジットWG」、参画企業間の交流による情報連携や相互理解・創発を行う場である「GXスタジオ」等に参加しています。
持続可能な社会の実現と気候変動問題の解決に向けて、GXリーグという枠組みを活用して、今後も積極的に各種活動に参加していきます。