株式会社JERA

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 株式会社JERAは、日本のみならず世界のエネルギー問題を解決していくグローバル企業として、地球温暖化対策を経営の最重要課題と考えています。
 化石燃料を使用した火力発電は、日本の電力需要の約7割を支える一方で、国内のCO2総排出量の約4割を占めており、脱炭素社会の実現には火力発電からのCO2排出量削減が欠かせません。
 当社は、国内最大の発電事業者として、脱炭素社会の実現を積極的にリードしていく立場にあることから、長期的に目指す姿を明確にすべく、「JERAゼロエミッション2050」を掲げています。
■JERAゼロエミッション2050

JERAゼロエミッション2050の3つのアプローチ
JERAゼロエミッション2050の3つのアプローチ

 「JERAゼロエミッション2050」の実現には、現在の技術ではクリアすべき課題がまだ多くあります。当社は、これまでに参画してきた燃料上流から発電に至るバリューチェーンの強みを活かし、自ら主体的に脱炭素技術の開発に取り組むとともに、経済合理性を確保すべく努力を重ねていくことで、実現に向けて取り組んでまいります。
 また、関係機関・団体やステークホルダーとも協力しながら、様々な課題解決に取り組むことで、エネルギー業界における脱炭素化を牽引してまいります。

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

■JERAゼロエミッション2050 日本版ロードマップ・JERA環境コミット
 当社の国内外の事業において、2050年時点でのCO2ゼロエミッションを目指し、国内事業におけるCO2ゼロエミッションの道筋を示した「JERAゼロエミッション2050 日本版ロードマップ」を策定しました。また、「JERAゼロエミッション2050 日本版ロードマップ」に従って、当社の国内事業におけるCO2ゼロエミッションを進めていくために、「JERA環境コミット」を制定しております。

JERAゼロエミッション2050日本版ロードマップ・JERA環境コミット
JERAゼロエミッション2050日本版ロードマップ・JERA環境コミット

■再生可能エネルギー事業の取り組み体制強化
 これまで当社の再生可能エネルギー事業は、本社と各地域の開発部隊が連携し取り組んでおりましたが、各地域間の連携に課題がありました。そこで、当社の再生可能エネルギー事業を一層加速するために、今後は、案件開発、建設、運転を担うプロフェッショナル集団を組成し、欧州の再生可能エネルギーの拠点に配置した上で、そのグローバルな知見・人財を各地域で行うローカルの事業開発で活用する、「グローカル」体制を構築することとしました。
 この体制により、世界各地域の拠点との連携が強化され、これまで各拠点に点在していた当社グループの貴重な経営資源の効率的な活用を図ります。さらに、グローバルな再生可能エネルギースタンダードの導入および展開と、法制度やサプライチェーン形成、地域との共生策の構築などローカルな視点での取り組みの両立に加え、洋上風力、陸上風力、太陽光および蓄電池という異なる技術・事業の間でのシナジーにも期待が持てます。
 今後は、国内外での再生可能エネルギー事業をさらに展開していくとともに、LNGや水素・アンモニアといった当社の他事業との連携を強化することで、複合的なオプションの提供が可能なJERAという唯一無二の存在として、再生可能エネルギー事業の競争力を一層高めてまいります。

■アンモニア・水素の導入計画
 アンモニアについては、2023年度に碧南火力発電所4号機において、燃料の20%をアンモニアに転換する実証試験を開始予定です。さらに当社の石炭火力発電所において、2028年度までにアンモニアを50%以上に転換する実証試験を実施し、2030年代前半には50%以上をアンモニアに転換した商用運転の開始を目指します。100万kWの石炭火力発電所で燃料の20%をアンモニアに置き換えた場合、年間約100万tのCO2削減効果があります。(電力中央研究所「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価」より試算)
 水素については、2020年代に当社のガスタービン型LNG火力発電所において燃料の30%(体積比)を水素に置き換える実証試験を実施し、2030年代半ばの商用運転を目指します。

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

 社会全体のカーボンニュートラル実現のためには、CO2フリー電気の供給と水素社会の構築が必要であり、その両方を実現させるにはクリーン水素・アンモニアの活用が不可欠と考えています。
 クリーン水素・アンモニアの活用を進めるためには、強靭なサプライチェーンの構築が必要です。当社は、LNG燃料の上流開発から、輸送・貯蔵、発電・販売までの一連のバリューチェーンへの参画経験・収益基盤の構築を成功させてきたノウハウを活用し、国内・海外の有力企業パートナーと協働の上、具体的なクリーン水素・アンモニアの開発・技術革新プロジェクトへの取り組みを着実に進めています。
 JERAの目指す姿は、世界中の全ての人々が、クリーンなエネルギーを、無理のない価格で安定的に使い続けられる世界の実現に貢献することです。
 ゼロエミッションに向けて共通の課題を有するアジアにおいては、当社の知見・技術を用いて、各国の重要なパートナー企業とともに脱炭素ロードマップの策定、水素・アンモニアの活用を含めた国・地域別の特性を考慮したソリューションを検討しています。
 日本のみならずグローバル規模での水素・アンモニアのサプライチェーンを構築し、発電用途だけでなく、他用途へのグリーン燃料の販売等を視野に入れた事業領域の拡大に取り組むことで、世界の脱炭素化やエネルギー問題の解決に貢献してまいります。

水素・アンモニアの強靭なサプライチェーン構築に向けた各国企業との協業
水素・アンモニアの強靭なサプライチェーン構築に向けた各国企業との協業

4.GXリーグでの活動について教えてください

 当社は、「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」というミッションの下、「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、2050年時点で国内外の当社事業から排出されるCO2の実質ゼロに挑戦しています。この取リ組みと「GXリーグ」の趣旨が整合しているものと考えております。
 当社は、自ら主体的に脱炭素技術の開発に取リ組むとともに、関係機関・団体やステークホルダーとも協力しながら、様々な課題解決に取り組むことで、今後もエネルギー分野における脱炭素を牽引していきます。