富士通株式会社

1.策定されている環境関連・削減目標について教えてください

 このたび当社は、グループの事業活動における温室効果ガス排出量を2030年度に、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量を2040年度にネットゼロ(*)とする目標を掲げ、SBTiよりネットゼロ認定を取得しました。この温室効果ガス排出削減目標達成に欠かせない再生可能エネルギーについても、2050年度から20年前倒しし、2030年度に事業活動における使用電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指します。当社は、バリューチェーン全体の環境負荷低減を実現するとともに、サステナビリティ・トランスフォーメーションをリードする企業として、お客様・社会の課題解決にテクノロジーで貢献し、提供価値の拡大・向上を図っていきます。そしてサステナブルな未来をお客様やパートナーとともに実現していきます。GXリーグの取り組みとも連携して、この目標を実現していきます。

*温室効果ガス排出量を目標年度に基準年度の90%以上を削減し、10%以下となった残存排出量を大気中のCO2を直接回収する技術(DAC)の活用や、植林などによる吸収で除去すること。

ネットゼロの実現に向けたロードマップ
ネットゼロの実現に向けたロードマップ

2.自社の環境関連・削減目標の達成に向けた取組について
教えてください

 当社では、再エネの利用拡大に向け、戦略的に再エネを調達しています。全社に先駆けて、国内におけるデータセンターから提供するクラウドサービス「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud」の運用に必要な全電力について、2022年度に100%再エネ化を実現しました。データセンターにおいては、当社で開発したAIを活用した空調設備の制御や外気冷却による冷房効率の最適化など、消費電力の削減(年15~20%)に取り組んでおり、顧客のデータやサーバーを預かっているデータセンターの使用電力を再エネ100%で提供するサービスも実施しています。今後も再エネの拡大や革新的な省エネなど、持続可能な社会実現に向け、活動を推進していきます。その他、自然災害などで電力供給が停止した際も安定した電力確保とCO2排出量削減の効果を合わせもつ燃料電池発電システムをグローバルで採用しております。また、熱源設備においても電化(再エネ)や水素などのグリーンエネルギーへの転換を検討しております。

自社のデータセンターの再エネ化と入居企業に対しても再エネを提供するサービス
自社のデータセンターの再エネ化と入居企業に対しても再エネを提供するサービス

3.自社のサプライチェーン、ひいては社会全体のCN達成に対する取組について教えてください

【上流・下流共通の取り組み】
 当社は2023年6月にSBTiより「ネットゼロ」の認定を取得しており、サプライチェーン上流の取り組みも含めたバリューチェーン全体の排出量を2040年度にネットゼロとすることを目標として上流・下流の取り組みを進めています。

【上流に特化した取り組み】
サプライヤのGHG排出削減を推進するために、2025年度に向けての削減目標として「主要取引先において、排出削減目標が設定されること(SBT WB2℃相当)」を設定し取り組みを実施中です。また、サプライチェーンにおけるGHG排出削減を進めるべく、Green×Digitalコンソーシアム 見える化WGに副主査として参画し、産業界全体のGHG排出量の統一的な算定ルールや算定結果伝達の仕組みの整備、ルールおよびデータフォーマットの実証実験などを積極的に推進しています。さらに、World Business Council for Sustainable Development(WBCSD)主催のPartnership for Carbon Transparency(PACT)のメンバーとして、製品カーボンフットプリント情報の企業間データ連携の実現に向けた世界初の社会実装プログラム「PACT Implementation Program」に参画し、リアルなサプライチェーンにおけるCO2排出量の見える化を世界で初めて成功しました。これらの取り組みを広めることで、グローバルなサプライチェーン全体のGHG排出削減を推進しています。

【下流に特化した取り組み①】
 製品使用時の消費電力削減によるGHG排出量削減を進めることで、顧客の製品使用時におけるGHG排出削減を進めています。2025年度に向けての削減目標として、「製品の使用時消費電力によるCO2排出量を12.5%以上削減(2020年度比)」を設定し取り組みを実施中です。

【下流に特化した取り組み②】
 環境貢献ソリューションの開発を推進しソリューションを提供することで、顧客や社会全体のGHG排出削減への貢献、すなわちカーボンニュートラル社会への貢献を進めています。2025年度に向けての目標として今年度は、環境への貢献を測る指標を策定することを目標とし、2024年度および2025年度においては、その指標を用いた貢献量の測定と公開を目標として取り組みを実施中です。また、GHG削減貢献量を測るためのルール作りとして国際標準の検討WGであるIEC TC111 WG17国内委員会に参画し、統一指標による定量化に取り組んでおります。

Green×Digitalコンソーシアム サプライチェーンにおけるCO2排出量見える化WGとの連携イメージ
Green×Digitalコンソーシアム サプライチェーンにおけるCO2排出量見える化WGとの連携イメージ

4.GXリーグでの活動について教えてください

【参加した目的】
 GXリーグには、国内のGXについて議論できる場を求めて参加しております。

【WGの取り組み】
 市場ルール形成WGではGXの市場創造に向けてガイドラインやルールを作るための議論を行っております。当社としてはこの議論に社会全体としてGX活動に向けた適切な企業評価と投資が進むようなルールを民間企業主体となって形成できるよう積極的に貢献することを目指しております。

【GXスタジオやビジネス機会創発の取り組み】
 2022年度に川崎市様との当社の取り組みを紹介させていただいたGXスタジオやビジネス機会創発の場を通して、参画企業同士の横のつながりによって得られるニーズやスタートアップ企業の新たな知見・技術との連携により、国内のGXを盛り上げていくことを目指しております。当社ではビジネスを通じたお客様・社会の環境課題解決への貢献の一環として、2023年6月よりJ-クレジット発行に向けた環境価値創出プロセス(CO2排出量などのデータ収集、検証、報告)を簡易化する「簡易創出基盤」の取り組みを開始しており、これを起点として製品カーボンフットプリントなどの多様な環境価値のデジタル化や普及にも貢献していきたいと考えております。

第1回GXスタジオでのプレゼンテーション登壇の様子
第1回GXスタジオでのプレゼンテーション登壇の様子